抗精神病薬について、薬効、使用上の注意、副作用などについてです。

抗精神病薬とは?
抗精神病薬とは、「精神病に効く薬」という意味です。
つまり、精神分裂病、非定型精神病、そう病、中毒性精神病などの精神病状態の治療に用いられます。
幻覚妄想を抑えたり、精神興奮を抑えたりするのが目的で使われます。

抗精神病薬は精神機能だけでなく、神経機能(脳)へも強い作用を持っているので神経遮断薬、
鎮静作用が強力なことからメジャートランキライザーともよばれることがあります。

精神分裂病は脳内のドーパミン系のニューロンの過活動により、脳が異常に興奮した状態です。
そのため幻覚や妄想などが出現すると考えられています。
それらの活動を抑えようと言うのが、この抗精神病薬なのです。

抗精神病薬は大きく分けると3つのグループに分けられます。
薬理的作用からフェノチアジン系、ブチロフェノン系、ベンザマイド系です。
また、薬の効き方の違いによって、また4つの群に分けられます。
詳しいことはまた後ほど述べます。

抗精神病薬の分類
A群(高力価群)
  1. ブチロフェノン誘導体
    ハロペリドール(セレネース)
    スピペロン(スピロペタン)
    チミペロン(トロペロン)
  2. フェノチアジン誘導体
    フルフェナジン(フルメジン)
    トリフロペラジン(トリフロペラジン)
    ペルフェナジン(トリラホン)
    プロクロルペラジン(パソトミン)
  3. ベンザマイド誘導体
    ネモナプリド(エミレース)
急性期治療の第一選択薬
  1. ドーパミン受容体遮断作用が特に強い
    →1日用量が少なくてすむ
  2. 鎮静・循環系の副作用が少ない
    →大量投与が可能
  3. 錐体外路症状が起きやすい
    →抗パーキンソン病薬併用
B群(低力価群)
  1. ブチロフェノン誘導体
    フロロピハミド(プロピタン)
  2. フェノチアジン誘導体
    クロルプロマジン(ウィンタミン)
    レボメプロマジン(レボトミン)
    チオリタジン(メレリル)
強い鎮静・催眠が必要な場合や
急性錐体外路症状を抑えたいときに使用します。
  1. ドーパミン以外の受容体遮断作用も強い
    →1日用量が多い静効果が強く、
  2. 自律神経・循環器系副作用が起きやすい。
    →投与量を段階的に増やしていく必要あり。
C群(中間・異型群)
  1. ブチロフェノン誘導体
    モペロン(ルバトレン)
    ブロムペリドール(インプロメン)
    ピモジド(オーラップ)
  2. フェノチアジン誘導体
    プロペリシアジン(ニューレプチル)
    ペラジン(プシトミン)
  3. ベンザミド誘導体
    スルピリド(ドグマチール)
    スルトプリド(バルネチール)
  4. チエビン誘導体
    ゾテピン(ロドピン)
  5. イミノジベンジル誘導体
    カルピプラミン(デフェクトン)
    クロカプラミン(クロフェクトン)
    モサプラミン(クレミン)
  6. チオキサンチン誘導体
    チオチキセン(ナーベン)
  7. インドール系薬物
    オキシペルチン(ホーリット)
AB両極の中間に位置する薬物。
非定型的な賦活効果があるとされる薬物で、
鎮静効果も急性錐体外路症状も比較的弱い。
  1. 回復例の維持療法
  2. 慢性例の維持療法
  3. 急性例で副作用を避けたい場合
  4. AB両群の薬物に反応しない例
  5. 老人
D群(持続型)
  1. 2週間持続型
    エナント酸フルフェナジン(アナテナジンデポー)
  2. 4週間持続型
    デカン酸ハロペリドール(ネオペリドール)
    デカン酸フルフェナジン(フルデカシン)
拒薬者への投薬
頻回再発例の維持療法

抗精神病薬の種類
精神分裂病の精神症状を改善する薬で、
構造式(かたち)の違いによって大きく3つに分けられます。
面白いことに、これらはまったく異なったお薬から開発されました。

一番最初の抗精神病薬は炎症やアレルギーを抑える抗ヒスタミン薬の研究から誕生しました。
これがクロルプロマジンです。1952年に登場しました。
それまで効く薬が全くなく、治療困難だった精神分裂病に治療の可能性がでてきたのです。
このクロルプロマジンと同じような構造を持つ系統の薬をフェノチアジン誘導体系の抗精神病薬です。

二番目はブチロフェノン誘導体系のハロペリドールです。
この薬剤はモルヒネ系鎮痛薬から合成されました。

三番目はベンザミド誘導体系の薬物です。
もともとは胃潰瘍の治療に使われていたスルピリドでした。

このように抗ヒスタミン薬、モルヒネ系鎮痛薬、胃潰瘍薬と
一見何の関係もない薬物が抗精神病薬として使われているのです。

抗精神病薬の薬理作用
抗精神病薬の種類のところでも述べましたが、
抗精神病薬はまったく異なる3種類の薬から、それぞれ開発されてきたのです。
これらに共通する作用は「抗精神病作用」です。
その作用は幻覚、妄想を抑えたり、異常な運動興奮を抑えたりするのが目的です。

精神分裂病がドーパミン系、とくにD2の異常興奮が原因の一つとされています。
つまり、症状を抑えるにはそのドーパミン系の神経をストップしてしまえばいいのです。
抗精神病薬の作用機序の第一段階は前頭葉、辺縁系、線条体、視床下部などに分布する
ドーパミンD2受容体を遮断してしまいます。

このドーパミン神経を遮断してしまうことが、
抗精神病薬の薬理作用であり、
副作用でもあるのです。

次に副作用についてみていくことにしましょう。


抗精神病薬の副作用
抗精神病薬がドーパミン神経を遮断することでその作用を発揮するように、
ドーパミン神経を遮断されることによって困った症状が出てきます。
そのいくつかの例を挙げてみることにしましょう。

手や足が震えて止まらないパーキンソン症候群。
パーキンソン症候群は、抗精神病薬によってドーパミン作動神経である
黒質線条体路の機能が抑制されたために起きてきます。

いても立ってもいられなくなりソワソワするアカシジア(静座不能)。
この症状は数時間から数日のうちに起こってくることが多いです。
抗パーキンソン薬によって改善します。

ドーパミン神経によって、催乳ホルモン(プロラクチン)の分泌を抑制しています。
このため、妊娠でもしない限りお乳は出ないのです。
しかし、抗精神病薬によってドーパミン神経が遮断されるとお乳が漏れてくることがあります。
それに無月経になることもあります。
また、男の人の場合では乳房が大きくなったり痛んだりすることがあるようです。

また、長期に抗精神病薬を服用していると、遅発性ジスキネジアが起こってきます。
これは、自分の意志とは関係なく口のまわりをもぐもぐ動かしたり、舌が動いたりするものです。
ひどくなってくると、舌を前に出したり、全身が上下や前後に小刻みに揺れていきます。
現在のところ、このジスキネジアへの特効薬はありません。

重篤な副作用としては、悪性症候群があります。
抗精神病薬を服用している0.07%〜0.4%と頻度は少ないのですが、
出現した10%前後の人が死亡すると言われています。
具体的な症状は、原因不明の発熱と意識障害です。
それとともに筋肉がかたくなり、脈もはやくなり、たくさん汗をかきます。

その他の副作用としては、口渇、便秘、排尿障害、肝機能異常、発疹などのアレルギーです。
眠気や全身倦怠感を増強するお薬もありますので、飲む時間帯などにも気をつけます。

抗精神病薬についての一般的なこと
市販されている抗精神病薬は30数種類ほどありますが、
精神病に対する作用はどの薬も力はほとんど変わりません。
鎮静作用や催眠作用、自律神経系や循環器系におよぼす作用、副作用がちがうのです。

抗精神病薬は腸で吸収されます。
その後、体内に広く分布して力を発揮します。
そして、肝臓で代謝(分解)されて、70〜80%が尿中へ、20〜30%が糞中へ排泄されます。
また、妊婦さんが飲むと胎盤を通過します。
母乳中にも数%移行します。
そのために妊婦さんは特に注意が必要となっていきます。

薬を飲んで数時間で一番濃度が濃いくなります。(効き目がある)
半減期は半日から一日です。(体からでていく)
落ち着くまでに1、2週間かかるようです。

副作用を予防するためにいろいろなお薬を飲むことになります。


A群:高力価群
急性期治療で最初に処方される薬です。
ドーパミン受容体を遮断する作用が強い(よく効く)ので一日の量が少なくてすみます。
また、鎮静作用、循環器系への影響が少ないので大量に投与することも可能です。
服用後すぐに副作用としてアカシジアなどの錐体外路症状が見られます。
この症状はA群の薬が一番よく見られます。
その予防として、抗パーキンソン薬が必要となります。

ハロペリドール(セレネース、リントン、ケセラン、ハロステン、ブロトポン)

抗精神病薬の代表格。ブチロフェノン系の薬物で、作用はクロルプロマジンより強い。
0.75、1、1.5、3mg、1%の粉薬、液状などいろいろな形、量であります。

【作用・適応・用量】

  1. 中枢神経系でドーパミン、ノルエピネフリン系の神経の興奮を強力に抑えます。
  2. 精神分裂病、躁病の興奮状態に対して使用します。
  3. 初期は1日0.75〜2.25mgから始め、徐々に増やしていきます。
    維持量としては1日3〜6mgです。
    1日最大量は40mgです。
    投与初期は錐体外路系の副作用(アカシジア、パーキンソン)を起こしやすいので、
    抗パーキンソン薬を併用します。

【動態】

  1. Tmax:5.1時間 T1/2:24.1時間
  2. 24時間以内で尿中へ35%、糞中へ25%排泄されます。
  3. 母乳中へ移行しますので授乳は中止します。
  4. 急性毒性:マウス経口114 ラット経口128

【副作用】

  1. 循環系副作用が少ない。
  2. 過量投与でショック状態になって重篤になることがあります。
  3. 中枢神経抑制剤やアルコールと併用すると作用を相互に増強します。
  4. 悪性症候群、不整脈、不快感などが出現します。
  5. 投与1〜3日でジストニア、数日〜数週でアカシジア、パーキンソン症状を起こしやすい。
  6. 数カ月を過ぎると遅発性ジスキネジアなどが出現します。

スピペロン(スピロペタン)

もっとも力の強い抗精神病薬です。
0.25mg、1mg錠や粉薬があります。

【作用・適応・用量】

  1. ノルアドレナリン作用を押さえたり、条件回避反応を抑制したり、
    覚醒を押さえる作用があり、その作用は強力です。
  2. 精神分裂病に対して服用します。
  3. 最初の一週間は0.45〜1.5mgではじめます。
    以降1日1.5〜4.5mgにしていきます。

【動態】

  1. Tmax:3時間
  2. 7日間以内に尿中へ74.3%、糞中へ28.7%排泄されます。
  3. 急性毒性:マウス経口2000以上 ラット経口1000以上

【副作用】

  1. 錐体外路症状(パーキンソン症候群、振戦、筋強直。よだれが垂れるなど)や
    ジスキネジア、アカシジアなどがみれれます。
  2. ショック状態になることがあります。
  3. 血圧が下がったり、頻脈になったすることがあります。
  4. 悪性症候群になることがあります。
  5. そのほか、ハロペリドールなどで見られる副作用が見られます。

チミペロン(トロペロン)

日本で開発されたブチロフェノン系の抗精神病薬です。
0.5〜3mgの錠剤や粉薬があります。
副作用が比較的強くないのが特徴。

【作用・適応・用量】

  1. ドーパミン作動精神系に対する抑制作用があります。
    一部の作用はクロルプロマジンやハロペリドールと比べると強力です。
  2. 精神分裂病に対して服用します。
  3. 初期では1日0.5〜3mgで開始します。
    その後徐々に増量していき、1日3〜12mgにします。

【動態】

  1. Tmax:4時間 T1/2:0.51〜8時間(平均3.7時間)
  2. 72時間以内で尿中へ36%、糞中へ53%に排泄されます。
  3. 母乳中へ移行するので授乳はやめます。
  4. 急性毒性:マウス経口478 ラット経口210

【副作用】

  1. バルビツール酸系や飲酒などの中性神経を抑制するようなお薬と併用すると
    作用が増強されるので注意します。
  2. 眠気が強いので、運転などには注意します。
  3. 錐体外路症状(パーキンソン症候群、振戦、筋強直。よだれが垂れるなど)や
    ジスキネジア、アカシジアなどがみれれます。
  4. 便秘が強くなったり、悪心、嘔吐が見られます。
  5. その他、ハロペリドールで見られるような副作用があります。

フルフェナジン(フルメジン)

もっとも用量力価が強いフェノチアジン系の抗精神病薬です。
ドーパミンの遮断作用が比較的強いとされています。

【作用・適応・用量】

  1. 網様体内のドーパミン伝達を遮断することで、網様体の作用を抑制します。
  2. 精神分裂病、神経症に対して使用します。
  3. 神経症:1日0.25〜2mgを分けて服用します。
    精神分裂病:1日1〜10mgを分けて服用します。

【動態】

  1. Tmax:2時間 T1/2:3〜29時間
  2. 有効血中濃度:0.2〜2.8mg
  3. 7時間以内に尿中へ1.2%、糞中へ62%排泄されます。
  4. 母乳中へ移行する可能性があるので授乳は中止します。
  5. 急性毒性:マウス経口330

【副作用】

  1. バルビツール酸系や飲酒などの中性神経を抑制するようなお薬と併用すると
    作用が増強されるので注意します。
  2. 飲み始めに起立性低血圧をみることがあります。
  3. 錐体外路症状が服薬中止後も持続することがあります。
  4. 血圧低下や脈が速くなったりします。
  5. 食欲不振、悪心、嘔吐、頑固な便秘などを認めます。
  6. そのほかの抗精神病薬でみられるような副作用が出現します。

トリフロペラジン(トリフロペラジン)

クロルプロマジンと(ラットで)比較してみると、あらゆる作用で2倍から20倍近く強い作用を示します。

【作用・適応・用量】

  1. クロルプロマジンと比べて特に強い作用を示すのは、
    条件回避抑制作用8〜12倍、カタレプシー惹起作用6〜19倍などです。
  2. 精神分裂病に対して使用します。
  3. 1日5〜30mgを分けて服用します。

【動態】

  1. Tmax:4時間 T1/2:11時間
  2. 母乳中へ移行するので授乳はなるべく避けます。
  3. 急性毒性:マウス経口1150

【副作用】

  1. バルビツール酸系、飲酒、有機リン殺虫剤の接触などは作用を増強するので注意します。
  2. 眠気が強いので、運転などには注意します。
  3. パーキンソン症候群やジスキネジアなどの錐体外路症状がみられることがあります。
  4. そのほかの副作用は他のフェノチアジン系の抗精神病薬でみられるようなものが出現します。

ベルフェナジン(トリラホン、トリオミン、PZC)

基本的にはクロルプロマジンとほとんど同一の作用を持っています。
一部の作用はクロルプロマジンより強い作用をもつ部分もあります。
錠剤、液剤、粉薬など様々なかたちがあります。

【作用・適応・用量】

  1. クロルプロマジンより強い作用を示すのは、自発運動の抑制、静穏作用、嘔吐抑制作用などです。
  2. 精神分裂病に対して使用します。
  3. 1日6〜24mgを分けて服用します。
    1日最大使用量は50mgです。

【動態】

  1. T1/2:8.4〜12.3時間
  2. 急性毒性:マウス経口306.5 ラット経口211

【副作用】

  1. バルビツール酸系、飲酒、有機リン殺虫剤などで作用が増強します。
  2. 眠気が強いので運転に注意します。
  3. パーキンソン症候群、ジスキネジアなどの錐体外路症状がみられます。
  4. そのほかの副作用はフェノチアジン系の抗精神病薬でみられるようなものが多いです。

プロクロルペラジン(ノバミン、パソトミン)

自発運動抑制作用、静穏作用、嘔吐抑制作用などはクロルプロマジンより強いです。
一方、抗コリン、抗ヒスタミン、抗アドレナリン作用は逆とても弱いです。

【作用・適応・用量】

  1. 抗コリン、抗ヒスタミン、抗アドレナリン作用はクロルプロマジンの1/5〜1/25くらいです。
  2. 精神分裂病に対して使用します。
    悪心・嘔吐に対して使用します。
  3. 精神分裂病に対して1日15〜45mgを分けて服用します。
    悪心・嘔吐に対して1日5〜20mgを分けて服用します。
    極量は一回20mg、1日60mgです。
    生後6ヶ月未満の子供には使用を避けるようにします。

【動態】

  1. 母乳中へ移行するので授乳はやめます。
  2. 急性毒性:マウス経口800

【副作用】

  1. 高齢者では起立性低血圧や錐体外路症状がでやすいので注意します。
  2. バルビツール酸系、飲酒、高血圧薬、有機リンなどで作用が増強するので注意します。
  3. そのほかの副作用はフェノチアジン系一般でみられるものがあります。

ネモナプリド(エミレース)

用量力価のもっとも強いベンザミド系抗精神病薬です。
現在の高力価薬の中では半減期が最も短いです。

【作用・適応・用量】

  1. ドーパミンD2受容体を遮断することで、中枢のドーパミン神経系を抑制します。
  2. 精神分裂病に対して使用します。
  3. 1日9〜36mgを食後に分けて服用します。
    1日60mgまで増量することが可能です。

【動態】

  1. Tmax:2〜3時間 T1/2:2.3〜4.5時間

【副作用】

  1. バルビツール酸系などの中枢神経系抑制薬や飲酒などによって作用が増強します。
  2. 眠気が強いので運転などに注意します。
  3. パーキンソン症候群やジスキネジア、アカシジア錐体外路症状がみられます。

B群:低力価群
強い鎮静・催眠を必要とするとき、急性錐体外路症状を避けたい場合に使用します。
ドーパミン神経系以外の受容体遮断作用も強いので1日用量が多くなります。
自律神経系・循環器系への副作用が多いので徐々に薬の量は増やしていきます。

フロロプパミド(プロピタン)

ブチロフェノン誘導体の中では鎮静作用が強い方です。

【作用・適応・用量】

  1. ドーパミン神経受容体の遮断作用があります。
    幻覚・妄想に対する消退作用があります。
  2. 精神分裂病に対して使用します。
  3. 最初の1〜2週間は1日50〜150mgを3回に分けて服用します。
    それ以降1日150〜600mgを3回に分けて服用します。

【動態】

  1. Tmax:3〜4時間
  2. 急性毒性:マウス経口910 ラット経口1120

【副作用】

  1. 眠気が強いので注意します。
  2. バルビツール酸系やアルコールによって作用が増強されます。
  3. パーキンソン症候群やジスキネジアなどの錐体外路症状出現しやすいです。
  4. 口渇、激しい便秘などがあります。

クロルプロマジン(ウィンタミン、コントミン)

最初の抗精神病薬です。そのため、臨床・薬理学的データが豊富にあります。

【作用・適応・用量】

  1. 抑制作用を持っています。精神不安や焦燥感を沈静し、気持ちを落ち着かせます。
    麻酔薬、睡眠薬、筋弛緩薬、鎮痛薬などの効果を増強します。
    体温調節機能を低下させます。心臓などの機能を抑制します。
  2. 精神分裂病、躁病、神経症における不安・緊張に対して使用します。
    悪心、嘔吐、けいれん、催眠・鎮静、鎮痛薬の効力増強で使用します。
  3. 精神科領域では50〜450mgを分けて服用します。
    そのほかの目的では30〜100mgを分けて服用します。
    1日の最大量は1gです。

【動態】

  1. Tmax:約2時間 T1/2:6〜24時間
  2. 有効血中濃度50〜300ng/ml
  3. 尿中へ70〜80%排泄されます。
  4. 母乳中へは微量移行します。
  5. 急性毒性:マウス経口405 ラット経口500

【副作用】

  1. バルビツール酸系やアルコール、降圧薬などとの併用は注意します。
  2. 眠気が強いので運転などには注意します。
  3. 心臓に作用するので血圧が下がったり、不整脈がでたりすることがあります。
  4. 肝臓の機能を障害することがあります。
  5. パーキンソン症候群、ジスキネジア、アカシジアなどの錐体外路症状がみられることがあります。
  6. 長期の大量投与によって目に色素が沈着するとこがあります。

レボメプロマジン(ソフミン、ヒルナミン、レボトミン)

催眠・鎮静作用が特に強い抗精神病薬です。

【作用・適応・用量】

  1. 鎮静作用はクロルプロマジンの約2.5倍、鎮痛増強作用は約4倍あります。
  2. 精神分裂病、躁病、うつ病での不安・緊張に対して使用します。
  3. 1日25〜200mgを分けて服用します。
    1日最大量は300mgです。

【動態】

  1. Tmax:1〜3時間 T1/2:15〜30時間
  2. 50%が尿中へ、残りの50%が糞中に排泄されます。
  3. 急性毒性:マウス経口375 ラット経口1100

【副作用】

  1. バルビツール酸系やアルコールなどの作用を増強させます。
  2. 眠気が強いので運転などには注意します。
  3. 血圧が下がる、脈が速くなる、不整脈になるなどの循環器系の副作用がでることがあります。
  4. 食欲が亢進します。
  5. パーキンソン症候群、ジスキネジア、アカシジアなどの錐体外路症状がでることがあります。
  6. 体重が増加したり、乳汁が分泌したりすることがあります。

チオリダジン(メレリル)

クロルプロマジンに近い作用をしますが、中脳、大脳皮質・辺縁系など広く作用します。

【作用・適応・用量】

  1. 日常の行動をあまり妨げずに感情興奮を弱め静穏作用に導きます。
    感情興奮抑制作用が運動興奮作用抑制作用より先に出現します。
  2. 精神分裂病に対して使用します。
    うつ病、精神薄弱、神経症、老年精神病での不安・焦燥・興奮・多動に対して使用します。
  3. 1日30〜90mgを分けて服用します。
    1日最大量は400mgです。

【動態】

  1. Tmax:3.3時間 T1/2:12時間
  2. 尿中に31〜36%、糞中に30〜45%排泄されます。
  3. 母乳中へ移行するので授乳には注意します。
  4. 急性毒性:マウス経口385 ラット経口1060

【副作用】

  1. バルビツール酸系やアルコールなどと併用すると作用を増強させるので注意します。
  2. 錐体外路症状の中で特にジスキネジアが起こりやすいです。
  3. 血圧が下がったりするので注意します。
  4. 射精障害がでることがあります。
  5. そのほかフェノチアジン系の副作用が見られます。

C群:中間・異型群
AとBの作用の中間に位置する薬物、非定型的な薬物、効果がある薬物。
鎮静効果も急性錐体外路症状も比較的弱い。

  1. 回復例の維持療法
  2. 慢性例の維持療法
  3. 急性例では急性錐体外路症状や強い鎮静作用を特に避けたい場合
  4. A、B群の薬物によく反応しない例や、難治例
  5. 老人

に対して使用します。

モペロン(ルバトレン)

中枢神経抑制作用と自律神経に対する作用を持っています。

【作用・適応・用量】

  1. 中枢神経抑制作用はハロペリドールと同様の作用を示します。
    自律神経作用はヒスタミン、バリウム、セロトニンの作用を抑制します。
  2. 精神分裂病に対して使用します。
  3. 初期は1日10〜15mgから始めます。
    症状改善まで1日20〜30mgまで増やしていきます。
    維持量は1日10〜15mgです。

【動態】

  1. 24時間以内で尿中へ42.5%排泄されます。
  2. 急性毒性:マウス経口218

【副作用】

  1. バルビツール酸系やアルコールとの併用は作用を増強するので注意します。
  2. 併用でエピネフリンの作用を逆転させるため血圧降下をきたします。
  3. 眠気が強いので運転などには注意します。
  4. 錐体外路症状がみられることがあります。
    長期投与で口の周りの不随運動がでることがあり、服薬中止後も継続することがあります。
  5. そのほかブチロフェノン系の副作用がみられます。

ブロムペリドール(インプロメン)

比較的半減期の長い抗精神病薬です。

【作用・適応・用量】

  1. 強力な中枢性抗ドーパミン作用を持っています。
  2. 精神分裂病に対して使用します。
  3. 1日3〜18mgを分けて服用します。
    1日36mgまで増量可能です。

【動態】

  1. Tmax:4〜6時間 T1/2:20.2〜31時間
  2. グルクロン酸抱合体として尿中へ約18%排泄されます。
  3. 母乳中へ移行するおそれがあるので服用中の授乳には注意します。
  4. 急性毒性:マウス経口198 ラット経口1912

【副作用】

  1. バルビツール酸系やアルコールとの併用は作用を増強するので注意します。
  2. 眠気が強いので運転などには注意します。
  3. 錐体外路症状がみられることがあります。
  4. そのほかブチロフェノン系の副作用がみられます。

ピモシド(オーラップ)

精神分裂病の慢性状態に効果があるとあされています。
躁病の急性期に対する有効性もあります。

【作用・適応・用量】

  1. 条件反射を抑制する作用、アポモルヒネに対する作用、アンフェタミンに対する作用などが
    ハロペリドールやクロルプロマジンより強く作用持続は長い。
  2. 精神分裂病に対して使用します。
    小児の自閉性障害に伴う動き、情動、意欲、対人関係にみられる異常行動、睡眠、食事、排泄、
    言語などにみられる病的な症状や精神症状に対して使用します。
  3. 精神分裂病に対して
    初期量は1日1〜3mg、症状に応じて4〜6mgに漸増。
    維持量は1日6mg、最高量は1日9mg。

【動態】

  1. Tmax:8時間 T1/2:53時間
  2. 尿中へ0.12%排泄されます。
  3. 急性毒性:マウス経口4000以上 ラット経口4000以上

【副作用】

  1. 中枢神経抑制薬などと同時に使用すると作用が増強するので注意します。
  2. 過量投与によって心電図異常、錐体外路症状などがみられます。突然死の報告あり。
  3. 悪性症状群を引き起こすことがあります。
  4. 錐体外路症状(パーキンソン症候群、アカシジア、ジスキネジア)がみられることがあります。
  5. 不眠がみられることがあります。

プロペリシアジン(アパミン、ニューレプチル)

分裂病のほか、強迫神経症、気分変動、攻撃性のある性格異常、てんかん衝動性にも有効なお薬。

【作用・適応・用量】

  1. ドーパミン受容体遮断による抗精神病作用を持っている。
    鎮静、催眠作用ももち副作用は比較的少ない。
  2. 精神分裂病に対して使用します。
  3. 1日10〜60mgを分けて服用します。

【動態】

  1. 尿中へ12%排泄されます。
  2. 急性毒性:マウス経口530

【副作用】

  1. バルビツール酸系、飲酒などによって作用が増強するので注意します。
  2. 眠気がくるので運転などには注意します。
  3. 血圧が急に下がったりすることがあるので注意します。
  4. パーキンソン症候群などの錐体外路症状がでることがあるので注意します。
  5. その他フェノチアジン系でみられる副作用が出現します。

ペラジン(プシトミン)

クロルプロマジンに比べて作用が小さいのが特徴です。

【作用・適応・用量】

  1. 自発運動抑制作用などはクロルプロマジンの約1/5、血圧に対する作用は少し少ない。
  2. 精神分裂病に対して使用します。
  3. 1日50〜400mgを分けて服用します。

【動態】

  1. 急性毒性:マウス経口2660 ラット経口1934

【副作用】

  1. バルビツール酸系、飲酒などによって作用が増強するので注意します。
  2. 眠気がくるので運転などには注意します。
  3. 血圧が急に下がったりすることがあるので注意します。
  4. パーキンソン症候群などのm錐体外路症状がでることがあるので注意します。
  5. その他フェノチアジン系でみられる副作用が出現します。

スルピリド(ドグマチール、アビリット、ベタマックT)

少量で抗うつ効果、抗潰瘍効果があり、大量で抗精神病効果を発現します。
血中プロラクチン濃度上昇作用があり乳汁を分泌することがあります。

【作用・適応・用量】

  1. 選択的ドーパミンD2受容体遮断作用があります。
  2. 精神分裂病、うつ病、抑うつ状態に対して使用します。
    胃、十二指腸潰瘍に対して使用します。
  3. 精神分裂病に対して1日300〜600mgを分けて服用します。
    1日最大1200mgまで増量が可能です。
    うつ病・抑うつ状態に対して1日150〜300mgを分けて服用します。
    1日最大600mgまで増量可能です。

【動態】

  1. Tmax:約2時間(3〜6時間) T1/2:7時間
  2. 24時間で尿中に26〜30%排泄されます。

【副作用】

  1. アトロピンなどの抗コリン薬とは作用が拮抗するので注意します。
  2. 眠気がくるので運転には注意します。
  3. 乳汁分泌、女性化乳房、月経異常などが見られることがあります。
  4. 食欲が亢進します。
  5. 体重が増加したり、性欲が減退したりします。
  6. パーキンソン症候群などの錐体外路症状が見られることがあります。
  7. 筋肉がこわばったり、脈が速くなったりなど、悪性症候群が見られることがあります。
  8. 脱力感、不穏、焦燥、ぼんやり、自律神経作用があります。

スルトプリド(バルネチール)

血中半減期の短い抗精神病薬で低力価であるが、錐体外路症状が多く自律神経症状が少ない

【作用・適応・用量】

  1. 抗アポモルヒネ作用、抗メタンフェタミン作用をもち中枢性抗ドーパミン作用をもっています。
  2. 躁病、精神分裂病の興奮および幻覚妄想状態に使用します。
  3. 1日300〜600mgを分けて服用します。
    1日最大量は1800mgまでです。

【動態】

  1. Tmax:1.4〜1.7時間 T1/2:3.6時間
  2. 72時間後88%が未変化体、代謝物が4%尿中に移行します。
  3. 母乳中へ移行することがあります。

【副作用】

  1. 中枢神経抑制薬、アルコールなどと服用しますと相互に中枢神経抑制作用を増強します。
  2. 躁うつ病の場合ではうつ転しやすくなります。
  3. 眠気がくることがあるので運転などには注意します。
  4. パーキンソン症候群、アカシジアなどの錐体外路症状が強く出ます。
  5. 筋肉がこわばったり、高熱が出たりなどの悪性症候群がみられることがあります。

ゾテピン(ロドピン)

日本で開発された独自の化学構造をもつ抗精神病薬。

【作用・適応・用量】

  1. 中枢神経系のドーパミン受容体を遮断することにより作用を示します。中枢性のセロトニンS2受容体に対し強い遮断作用を示します。
  2. 精神分裂病に対して使用します。
    躁病に対しても有効性があります。150〜300mgを毎食後に服用します。
  3. 1日75〜150mgを分けて服用します。
    1日450mgまで増量可能です。

【動態】

  1. Tmax:1〜4時間 T1/2:約8時間
  2. 24時間までに尿への未変化体の排泄量わずかでほとんどが代謝物となります。

【副作用】

  1. エピネフリン、中枢神経抑制薬、降圧薬、三環系抗うつ薬、アルコールなどと服用しますと作用を増強させます。
  2. 眠気があるので運転などのには注意します。
  3. 悪性症候群がみられた際は服用を中止します。
  4. 錐体外路症状などが出現することがあります。