抗うつ薬について、薬効、使用上の注意、副作用などについてです。

抗うつ薬
抗うつ薬とは病的なうつ状態を改善するくすりの総称で、様々な種類があります。
うつ病の起こるメカニズムとして「モノアミン仮説」というものがあり、要は脳内のそういった
物質の不足によって起こると考えられています。この物質は分泌されて一定期間過ぎると
回収(再取り込み)されます。そこで、抗うつ薬の目標は各種のモノアミンの増量を目指しています。

抗うつ薬には三環系・四環系抗うつ薬、モノアミン酸化酵素阻害薬、その他の薬剤(精神刺激薬など)があり、
日本での主流は三環系抗うつ薬ますが、時期にSSRIに移行するものと思われます。
薬理作用、副作用も多種多様なのでその都度説明していきます。
多くの抗うつ薬は催眠・鎮静・自律神経・循環系の副作用を起こします。
作用機序がはっきりしてないことも欠点のひとつです。

抗うつ薬の服薬は1日3回食後の服薬が基本です。
また、飲む時間より1日にどれだけの量を服薬したかが大切です。
(服薬時間に厳しくとらわれなくてもよい)
3回に分けるのは1〜2回で飲むと副作用がそれだけ強く出やすいからです。
常用量では重篤な副作用が起こることは少なく、
自殺目的などの過量服用でも抗精神病薬やベンゾジアゼピン系に比べて致命率は高いです。


抗うつ薬の分類
A、抗うつ薬
  1. モノアミン再取り込み阻害薬
    1)ノルアドレナリン>セロトニン
      ノルトリプチリン(ノリトレン)
      アモキサピン(アモキサン)
      デシプラミン(パートフラン)
      マプロチリン(ルジオミール)
    2)セロトニン>ノルアドレナリン
      イミプラミン(トフラニール)
      アミトリプチリン(アデプレス)
      トリミプラン(スルモンチール)
      クロミプラミン(アナフラニール)
      ドスレピン(プロチアデン)
      トラゾドン(レスリン)
  2. シナプス前α2アドレナリン受容体を阻害する薬物
      ミアンセリン(テトラミド)
      セチプチリン(テシプル)
  3. ドーパミン系薬物
      スルピリド(ドグマチール)
  4. モノアミン酸化酵素阻害薬
      サフラジン(サフラ)
  5. 選択的セロトニン再取り込み阻害薬
      フルボキサミン(ルボックス)

      パロキセチン(パキシル)
  6. セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬
      ミルナシプラン(トレドミン)



1)単極性うつ病と各種うつ状態の第一選択薬
2)双極性うつ病に対しては抗そう薬への非反応例

1)臨床効果は大同小異
2)作用機序、化学構造は薬剤選択の
指針としては役に立たない






1)軽症〜中等症例
2)副作用を避けたい軽症例に

上記薬物の非反応例、過敏症などで

B、抗そう薬(気分安定薬)
  1. リチウム(リーマス)
  2. カルバマゼピン(テグレトール)
躁うつ病の第一選択
C、精神刺激薬
  1. メチルフェニデート(リタリン)
  2. ピプラドール(カロパン)
  3. ペモリン(ベタナミン)
抗うつ病薬に反応しない各種うつ状態

三環系抗うつ薬の薬理作用
現在日本ではうつ病の第一選択薬としては三環系抗うつ薬が用いられています。
主な作用は意欲の亢進、気分明朗化、鎮静・不安解消作用ですが、
それぞれの薬によって得意とする分野があり、患者さんの症状に応じて処方されます。

さて、なぜ三環系抗うつ薬が利くかと言う話しに移りましょう。
うつ病の患者さんでは脳のノルアドレナリン神経やセロトニン神経の働きの異常が起きています。
簡単に言うと神経から放出されるノルアドレナリンやセロトニンの数が減っているのですが、
三環系抗うつ薬ではその再取り込みを阻害することで、脳内のノルアドレナリンやセロトニンの量を
増やそうとします。(急性効果)

しかし、うつ病の患者さんに三環系抗うつ薬を投与してもすぐには利いてきません。
だいたい2週間くらいの時間を必要とします。
これは三環系抗うつ薬によってノルアドレナリンやセロトニンの受容体(レセプター)の数が
減少されたものと考えられています。(慢性効果)レスプターの数が減れば、
少ないノルアドレナリンやセロトニンの量ですむからです。


三環系抗うつ薬の副作用
三環系抗うつ薬の薬はうつ状態を改善するのにいい薬ですが、
副作用として比較的強めの抗コリン作用というものを持っています。
これが原因で服薬中断の理由となることもあります。
抗コリン作用とは副交感神経の作用を抑える薬で、交感神経が優位な状態となります。
三環系抗うつ薬による副作用は服薬当初より現れます。
薬の効果が発現するのに時間がかかるわけですから、
その前に副作用が出現することもありますが、薬を続けていくことで副作用は
軽減したり消えてしまうこともあります。
主な急性期の副作用は以下の通りです。

長期間服用することで見られる副作用は


ノルトリプチリン(ノリトレン)

 三環系抗うつ薬では比較的心臓に対する毒性が弱いとされています。
 ノルアドレナリン再取り込み作用が比較的強く、抑制効果が目立ちます。
 10mgがうす黄だいだいの糖衣錠、25mgもうす黄だいだいの糖衣錠です。


【作用・適応・用量】
  1. 自発運動亢進を抑制し、睡眠時間を延長します。
  2. うつ病やうつ状態に対して適応。
  3. 1回10〜25mgを1日3回服用するか、その1日量を2回に分けて服用します。
    最大量は1日150mgで2〜3回に分けて服用します。
【動態】
  1. Tmax:約2時間 T1/2:14.4〜38時間
  2. 尿中へ24時間以内で34%排泄されます。
  3. 急性毒性:マウス経口260 ラット経口410
【副作用】
  1. MAO阻害薬と併用すると発汗、不穏、全身痙攣、異常高熱、
    昏睡などが出現することがあります。
  2. アルコール、抗コリン薬、アドレナリン作用薬、中枢神経作用薬によって作用が増強されます。
  3. 躁うつ患者では躁転する事があり、自殺企図が見られることもあります。
  4. その他三環系抗うつ薬の副作用を参考。

アモキサピン(アモキサン)

 第2世代の三環系抗うつ薬です。血中半減期が短く速効性があるとされています。
 抗コリン作用は弱いですが、ドーパミン遮断作用があるため錐体外路系の副作用を
 起こすことあがあります。10mgは淡赤褐色のカプセル、25mgが淡赤褐色と白色のカプセル、
 50mgが白色のカプセルです。


【作用・適応・用量】
  1. 脳神経細胞への放出されたカテコールアミンの再取り込みを阻害することにより、
    シナプスにおけるカテコールアミンの濃度を上昇させます。
  2. うつ病、うつ状態に対して適応。
  3. 1日25〜75mgを1〜数回に分けて服用します。
    効果不十分な場合は150mgまで徐々に増やします。
    重篤な場合は1日300mgまで増やしていきます。
【動態】
  1. Tmax:1.5時間 T1/2:8時間
  2. 48時間以内に43%が尿中へ排泄されます。
  3. 急性毒性:マウス経口155 ラット経口313
【副作用】
  1. MAO阻害薬と併用すると発汗、不穏、全身痙攣、異常高熱、
    昏睡などが出現することがあります
  2. アルコール、抗コリン薬、アドレナリン作用薬、中枢神経作用薬によって作用が増強されます。
  3. 躁うつ患者では躁転する事があり、自殺企図が見られることもあります。
  4. 抗コリン作用が強い場合は中止します。
  5. 急性に振戦などのパーキンソン症状やアカシジア(じっとしてられない)などの
    錐体外路症状が見られます。
  6. 慢性には遅発性ジスキネジアがおこることがあります。
  7. 他の三環系抗うつ薬と同じような副作用を示します。

デシプラミン(パートフラン)

 イミプラミンの代謝された形の物質で、抗うつ効果はイミプラミンによく似ています。

【作用・適応・容量】
  1. 神経細胞内への遊離モノアミンの取り込みを阻害することによって、
    シナプスでのカテコールアミンの濃度を上昇させ、レセプターへの刺激を
    持続させることにより抗うつ効果を発揮します。
  2. 精神科領域におけるうつ病・うつ状態に対して使用します。
  3. 1日50〜75mgを何回かに分けて服用します。
    1日最大量は200mgです。
【動態】
  1. Tmax:約6時間 T1/2:約20時間
  2. 急性毒性:マウス経口935 ラット経口625
【副作用】
  1. MAO阻害薬と併用すると発汗、不穏、全身痙攣、異常高熱、昏睡などがでることがあります。
  2. アルコール、抗コリン薬、アドレナリン作用薬、中枢神経作用薬によって作用が増強されます。
  3. 躁うつ患者では躁転する事があり、自殺企図が見られることもあります。
  4. フェノチアジン系精神神経作用薬、抗不安薬などと併用すると作用が増強することがあります。
  5. 低血圧を起こすことがあります。
  6. 口渇、排尿困難、、便秘などの抗コリン作用が著名です。
  7. ふらつき、めまい、倦怠感、発汗などがみられることがあります。
  8. 長期の投与で口の周りが勝手にもごもご動くことがあります。
  9. 他の三環系抗うつ薬と同じです。

マプロチリン(ルジオミール)

 最初の四環系抗うつ薬です。選択的なノルエピネフリン再取り込み阻害薬です。
 セロトニンの再取り込み阻害作用はありません。鎮静や抗コリン作用などの有害作用が
 比較的軽いです。10mg、25mg、50mgの錠剤があります。


【作用・適応・容量】
  1. 作用機序は従来の抗うつ薬と同じですが、セロトニンの再取り込み作用がないこと、
    中枢性の抗コリン作用が少ないこと、けいれんの出現率が上昇することなどの違いがあります。
  2. うつ病及びうつ状態に対して使用します。
  3. 1日30〜75mgを2〜3回に分けて服用するか、就寝前に一回で服用します。
【動態】
  1. Tmax:6〜12時間 T1/2:19〜73時間(平均45〜46時間)
  2. 48時間以内に30%、96時間以内に48%が尿中に排泄されます。
  3. 母乳中へ移行します。
  4. 急性毒性:マウス経口480 ラット経口:1300
    通常量でも過量投与でもけいれん発作がみられることはあります。
【副作用】
  1. MAO阻害薬と併用すると発汗、不穏、全身痙攣、異常高熱、昏睡などでることがあります。
  2. 抗不安薬、中枢神経抑制薬、飲酒などによって作用が増強します。
  3. 急に中止すると悪心、神経過敏、不安、筋肉のけいれんなどが起こることがあります。
  4. うつ病の患者さんでは自殺企図の危険性が伴うため注意します。
  5. 過量服用によって昏睡、けいれん、運動失調、不安、異常高熱、
    不整脈、低血圧などがみられます。
  6. 紫斑ができたり、日光過敏症になったりするなどの皮膚症状がやや多いです。
  7. そのほか他の抗うつ薬と同じ伏す作用を示します。

イミプラミン(イミドール、クリテミン、トフラニール)

 最初の三環系抗うつ薬です。いわゆる第一世代の抗うつ薬です。
 モノアミン(ノルアドレナリン・セロトニン)再取り込み阻害薬です。
 パニック障害、全般性不安障害、恐怖症、慢性疼痛などに対する有効性もあります。


【作用・適応・容量】
  1. 主としてうつ病・うつ状態の中核を形成する気分の変調を正常化し、
    さらに抑制や不定を和らげる効果を持ちます。放出されたモノアミンの神経細胞への
    再取り込みを阻害し、シナプスにモノアミンを貯留させ、持続的に神経を刺激することで
    効果を発揮します。
  2. 精神科領域におけるうつ病・うつ状態に対して使用します。
  3. 1日25〜75mgを何回かに分けて服用します。
    1日の最大量は300mgです。

【動態】

  1. T1/2:約8時間
  2. 発現:数日〜2,3週間
  3. 72時間以内に尿中へ72%排泄されます。
  4. 母乳中への移行が見られます。
  5. 催奇形性があるので妊娠している可能性があるときは気をつけます。
  6. 急性毒性:マウス経口350 ラット経口625
    過量投与による最初の症状は服用後30分〜2時間後に高度の抗コリン作用が出現します。
    眠気、昏迷、運動失調、情動不安、不整脈、低血圧、などが見られます。

【副作用】

  1. MAO阻害薬と併用すると発汗、不穏、全身痙攣、異常高熱、昏睡などでることがあります。
  2. 抗不安薬、中枢神経抑制薬、飲酒などによって作用が増強します。
  3. 躁うつ病の患者さんの場合は、躁転したり自殺企図が見られることがあります。
  4. 抗コリン作用が強いため、頑固な便秘、起立性低血圧、口渇、排尿障害、
    鼻づまりなどがあらわれます。
  5. その他、他の抗うつ薬と同じような副作用が出現します。

アミトリプリチン(アデプレス、トリプタノール、ラントロン)

催眠鎮静効果が比較的強い抗うつ薬です。

【作用・適応・容量】
  1. 脳内でのノルアドレナリンやセロトニンの再取り込みを抑制する結果、
    シナプスのところのモノアミンが増量することにより抗うつ効果を発揮します。
  2. 精神科領域でのうつ病、うつ状態に対して使用します。
  3. はじめのうちは1日30〜75mgを何回か二分けて服用するか就寝前に服用します。
    徐々に150mgまで増量できます。
    1日最大量は300mgです。
【動態】
  1. Tmax:約4.5時間 T1/2:26.8時間
  2. 24時間以内で尿中へ33〜50%排泄されます。
  3. 急性毒性:マウス経口289
【副作用】
  1. MAO阻害薬と併用すると発汗、不穏、全身痙攣、異常高熱、昏睡が出現します。
  2. 抗不安薬、中枢神経抑制薬、飲酒などによって作用が増強します。
  3. 躁うつ病の患者さんの場合は、躁転したり自殺企図が見られることがあります。
  4. 眠気が来るので注意します。
  5. 血圧低下、頻脈、動悸、不整脈などが見られることがあります。
  6. 運動失調、幻覚、妄想、不眠、不安、焦燥などが出現することがあります。
  7. 抗コリン作用として口渇、便秘などが見られます。
  8. 顔や舌が腫れたり、発疹やじんましんなどの薬疹がでることがあります。
  9. その他の抗うつ薬と同じような副作用が出現します。

トリミプラミン(スルモンチール)

 鎮静効果も比較的強いとされている抗うつ薬です。鎮静作用、体温下降作用、
 自発運動抑制作用などはイミプラミンより強いですが、クロルプロマジンよりはるかに弱いです。
 抗うつ作用はイミプラミンと同等です。


【作用・適応・容量】
  1. 薬理作用はイミプラミンとにています。
  2. 精神科領域でのうつ病・うつ状態に対して使用します。
  3. 1日50mg〜100mgよりはじめ、1日200mgまで増やしていきます。
    1日最大量は300mgです。
【動態】
  1. Tmax:約3時間 T1/2:約24時間
  2. 急性毒性:マウス経口425
【副作用】
  1. MAO阻害薬と併用すると発汗、不穏、全身痙攣、異常高熱、昏睡が出現します。
  2. 抗不安薬、中枢神経抑制薬、飲酒などによって作用が増強します。
  3. 躁うつ病の患者さんの場合は、躁転したり自殺企図が見られることがあります。
  4. 振戦や眠気が出現することがあります。
  5. 抗コリン作用として口渇、便秘などが見られます。
  6. その他の抗うつ薬と同じような副作用が出現します。

クロミプラミン(アナフラニール)

 セロトニン再取り込み阻害作用の強い三環系抗うつ薬です。強迫神経症によく効く薬です。

【作用・適応・容量】
  1. イミプラミンと比較して、中枢抑制作用は弱いです。自律神経系、
    循環器系への影響は同等です。
  2. 強迫神経症の治療、うつ病、うつ状態に対して使用します。
  3. 1日50〜100mgを1〜3回に分けて服用します。
    1日最大量は225mgです。
【動態】
  1. Tmax:4時間 T1/2:約24時間
  2. 母乳中へ移行します。
  3. 急性毒性:マウス経口480 ラット経口1800
    過量投与による最初の症状は服用後30分〜2時間後に高度の抗コリン作用を示します。
    中枢神経症状(眠気、運動失調、情動不安、けいれんなど)心症状(不整脈、頻脈など)
    が見られるようになります。
【副作用】
  1. 起立性低血圧、動悸、頻脈などの循環器系の症状がでることがあります。
  2. MAO阻害薬と併用すると発汗、不穏、全身痙攣、異常高熱、昏睡が出現します。
  3. 抗不安薬、中枢神経抑制薬、飲酒などによって作用が増強します。
  4. 躁うつ病の患者さんの場合は、躁転したり自殺企図が見られることがあります。
  5. 振戦や眠気が出現することがあります。
  6. 抗コリン作用として口渇、便秘などが見られます。
  7. その他の抗うつ薬と同じような副作用が見られます。

ドスレピン(プロアチデン)

 効果はアミトリプチンと同等です。しかし、副作用が少ないとされています。

【作用・適応・容量】
  1. ドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンの再取り込み阻害抑制作用があります。
    自発運動の増加を促し、睡眠の延長抑制作用などがあります。
  2. うつ病・うつ状態に対して使用します。
  3. 1日75〜150mgを2〜3回に分けて服用します。
【動態】
  1. Tmax:4時間 T1/2:18時間
  2. 24時間以内で尿中へ40%排泄されます。
  3. 母乳中へ移行します。
  4. 急性毒性:」マウス経口580 ラット経口:1996
【副作用】
  1. MAO阻害薬と併用すると発汗、不穏、全身痙攣、異常高熱、昏睡が出現します。
  2. 躁うつ病の患者さんの場合は、躁転したり自殺企図が見られることがあります。
  3. アルコール、抗コリン薬、中枢神経抑制薬などによって作用が増強します。
  4. 抗利尿ホルモンと構造が類似しているため、低ナトリウム血症、意識障害、
    けいれんなどが見られることがあります。
  5. けいれん、眠気、めまい、ふらつき、立ちくらみなどが見られることがあります。
  6. 抗コリン作用として口渇、便秘、鼻づまり、視力障害などが見られます。
  7. その他の抗うつ薬と同じ副作用が見られます。

トラゾドン(デジレル、レスリン)

 トリアゾロピリジン系の抗うつ薬です。三環系、四環系、MAO阻害薬などと
 基本的な構造が違います。抗うつ作用よりも抗不安、鎮静作用が強いとされています。
 また、プロザック服用中にみられる不眠にも有効という報告があります。


【作用・適応・容量】
  1. モノアミン再取り込み阻害作用において、セロトニンを選択的に作用します。
    抗コリン作用がほとんどもられません。
  2. うつ病、うつ状態に有効で、特に大うつ病性障害には有効。
  3. 1日75〜100mgを初期用量として1日200mgまで増量し、1〜数回に分けて服用します。
【動態】
  1. Tmax:3〜4時間 T1/2:6〜7時間
  2. 75%が尿中に排泄されます。
  3. 過剰服薬によってはきけ、筋運動失調がでることがあります。
【副作用】
  1. めまい、鎮静、起立性低血圧、頭痛、吐き気などがみられることがあります。
  2. αアドレナリン受容体阻害作用によって口渇がみられることがあります。
  3. 抗コリン作用はみられないようです。
  4. まれに持続性勃起症が見られることがあります。
  5. 中枢抑制性薬やアルコールの作用を増強します。

ミアンセリン(テトラミド)

 四環化合物です。従来の抗うつ薬とは異なった作用機序をもち、催眠・鎮静効果が比較的強いです。
 抗コリン作用は弱いが、抗ヒスタミン作用が強いです。

【作用・適応、用量】
  1. シナプス前のα2アドレナリン受容体を阻害することによって抗うつ効果を発現します。
    脳内ノルエピネフリンの放出を促進し、受容体への刺激増加を狙います。抗ヒスタミン作用が強いです。
  2. うつ病、うつ状態に対して使用します。
  3. 1日30mgを分服または就寝前に服用します。
    1日60mgまで増量していきます。
【動態】
  1. Tmax:約2時間 T1/2:3.6〜4.4時間
  2. 尿中へ70%が排泄されます。
  3. 急性毒性:マウス経口245.5 ラット経口1996
【副作用】
  1. 抗コリン作用などの自律神経症状は少ないが、眠気がやや多いです。
  2. MAO阻害薬との併用で、発汗、不穏、全身痙攣などが出現することがあります。
  3. アルコールなどとの併用で作用が増強します。
  4. 発疹や、かゆみがでることがあります。
  5. 風邪症状が出現することがあります。

セチプチリン(テシプール)

 ミアンセリンと薬理作用は同様です。比較的新しい四環系抗うつ薬で、再取り込み阻害とは別の作用機序です。

【作用・適応・用量】
  1. シナプス前のα2エピネフリン受容体遮断により、シナプス間隙へのノルエピネフリンの遊離を促進させます。
    作動神経の活動が増進されることによって作用を発現します。
  2. うつ病・うつ状態に対して使用します。
  3. 1日3mgを何回かに分けて服用します。
    1日最大量は6mgです。
【動態】
  1. Tmax:1〜3時間 T1/2:2.15時間、24時間
  2. 48時間以内で21.3%が尿中に排泄されます。
  3. 急性毒性:マウス経口423 ラット経口630
【副作用】
  1. 眠気、ふらつき、立ちくらみ、脱力、倦怠感などが見られることがあります。
  2. 発疹などが出現することがあります。
  3. 口渇、便秘などが見られることがあります。
  4. その他ミアンセリンで見られるようなものが出現することがあります。

ドーパミン系薬物→抗精神病薬の項を参照してください。

モノアミン酸化酵素阻害薬
モノアミン酸化酵素阻害薬(以下MAO阻害薬)は、うつ病の治療において三環系抗うつ薬とほぼ同等の効果を持ちます。
最初にチラミンという薬が市場に出ましたが、この薬は致死的に高血圧を引き起こすことから、
抗うつ薬の市場からMAO阻害薬がしばらくの間遠ざけられていました。現在では、食事など十分気をつければ安全に使えます。

MAO阻害薬の薬理作用
モノアミン酸化酵素という酵素は神経伝達の場であるシナプスでモノアミン(セロトニンやドーパミン)を
代謝(効力をなく)します。そこでMAO阻害薬はその代謝の過程をブロックします。
そうすることで、シナプスにおいてのカテコラミンの濃度が上昇し、抗うつ効果を発揮します。
他の抗うつ薬が無効などの難治性のうつ病に用いられますが、服用後一週間でしょうが出現します。
三環系抗うつ薬と違い、多幸感が出てくることがあります。

MAO阻害薬の副作用
最も頻度が高いのは起立性低血圧、体重増加、むくみ、性機能障害、不眠です。
躁うつ病では躁状態を示すことがあり、口渇、便秘などの自律神経症状も見られます。
チラミンという物質を多く含んだ食品(チーズ、赤ワイン、チョコレート、ヨーグルトなど)では、
重篤な高血圧を引き起こします。また、パーキンソン病の症状を悪化させたりもします。

過量投与による症状は激烈です。
高熱、高血圧、頻呼吸、頻脈、瞳孔散大などから昏睡へと移行します。
MAO阻害薬は他の薬剤と併用することで、致死的にもなりうる相互作用を持っています。
アルコールを含めた中枢神経抑制薬に使えば、それらの作用を増強し、
セロトニン作動薬(SSRIなど)では、自律神経の機能失調、高熱、錯乱、昏睡などの症状が出ます(セロトニン症候群)。

チラミンを非常に多く含む食品
アルコール(ビール、ワイン、キャンティは注意。スコッチ、ジン、ウォッカ、シェリーはよい)
熟成したチーズ(カマンベール、エダム、チュダーなど。クリームチーズとカッテージチーズはよい)
牛や鶏のレバー、オレンジの果肉、酢漬けやスモークした魚、鶏肉、肉など

チラミンをけっこう含む食品(1日1〜2回以上は食べない)
醤油、サワークリーム。
バナナ(皮をむけばよい)、アボガド、なす、プラム、レーズン、ほうれん草、トマト、ヨーグルト

MAO阻害薬服用中は使用したらいけないもの<
麻酔薬(リドカイ、プロカインはよい)
喘息治療薬、降圧薬、利尿薬、パーキンソン病治療薬、SSRI、クロミプラミン
麻薬(モルヒネ、コデインはやや安全)
市販の感冒薬(アスピリンなどは安全)
交感神経薬(アンフェタミン、コカイン、メチルフェニデート、ドーパミン、エピネフリンなど)

慎重に使うもの
抗ヒスタミン薬
三環系抗うつ薬


サフラジン(サフラ)
 国内で唯一のMAO阻害型の抗うつ薬です。

【作用・適応・用量】
  1. 脳のMAOを選択的に阻害し、抗うつ効果を示します。
  2. 精神科領域でのうつ病
  3. 1日15〜30mgを3回に分けて服用します。
【副作用】
  1. 交感神経興奮薬、抗パーキンソン薬、抗ヒスタミン薬、飲酒などで作用が増強するので注意します。
  2. 上記の食物をとると血圧が上がったり、脳出血の恐れがあります。
  3. 三環系抗うつ薬など併用する薬には注意します。
  4. 服用中は定期的に医師の診断(肝臓、視力などの)を受けて下さい。
  5. 三環系から変えるときは一週間、MAO阻害薬から三環系へ変えるときは2週間少なくとも間をあけてください。
  6. 頭痛などが出現したら医師に相談してください。
  7. その他、口渇、発汗、眠気などが見られます。

新しいタイプのMAO阻害薬
MAO阻害薬(サフラ)は副作用が非常にやっかいな薬ですので、実際の臨床の場では使われることは少ないようです。
しかし、その効力は三環系抗うつ薬と同等であるので、これを使わない手はありません。
いままでのMAO阻害薬の問題点は、

  1. MAO阻害作用が脳のシナプスだけでなく全身の臓器でもおもるため、他の臓器に障害がでる。
  2. その阻害がいったん始まると、薬が切れるまで止まらない。(不可逆性)
  3. モノアミンが急激に上昇する

と言ったことがあげられます。
そこで、なるべく脳のシナプスにだけ働きかけ、しかも、モノアミンがある一定の濃度になったら止まる(可逆的)な作用
を目指して作られたのが、可逆的モノアミン酵素タイプA阻害薬(RIMA)です。
この薬剤はMAOに対して可逆的に結合するため、チラミンを含む食品を安全に摂取できるようになるための期間を短縮できたり、
性欲減退などの副作用が少なくなったようです。
現在、当然のように日本では認可されていませんが、
アメリカなどではモクロベミド(オーロリックス)やブロファロミン(コンソナール)が導入されているようです。


選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)
いわゆる新世代の抗うつ薬の代表選手です。プロザックなどに代表されるよう、アメリカでは抗うつ薬の標準薬となりつつあります。
日本で認可されているのは、ルボックスの一種類ですが、SSRIの仕組みについて述べていきます。

まず、うつ病の仕組みをおさらいしましょう。
うつ状態の脳内では、モノアミンという神経伝達物質が極端に減少しています。
このモノアミンが¥は神経と神経とを連絡するバトンのような役目を果たしていますが、
これが減少しているためにうまく信号が伝わらないために、うつ状態になると考えられています。
中でも、うつ病と関わりが深いと考えられている神経伝達物質がセロトニンです。
セロトニンの量が減少していて、そのために神経の信号の伝達がうまくいかないためにうつ状態になると考えられています。

神経から放出されたセロトニンは次の神経にバトンを渡したりしたあとなど、シナプスの間隙に残っています。
これを再利用するために、シナプスには神経伝達物質を回収する仕組みがあります。
これが再取り込みと呼ばれるもので、神経伝達物質それぞれ、別々の取り込み口から分別回収されます。

従来の三環系抗うつ薬も、このセロトニンの再取り込みを阻害する作用で抗うつ効果を発揮してきました。
セロトニンの再取り込みを阻害することで、シナプス間隙に存在するセロトニンの数を上昇させることができるのです。
しかし、三環系抗うつ薬はセロトニンだけではなく、ノルアドレナリン再取り込み阻害や抗アセチルコリン作用、
αアドレナリン拮抗作用、抗ヒスタミン作用なども持っていました。
ノルアドレナリン再取り込み阻害は抗うつ効果を発揮するのでいいのですが、
抗アセチルコリン作用によって、抗コリン作用を発揮します。
つまり、従来の抗うつ薬で見られる副作用の口渇、便秘、かすみ目、眠気などを出現してきたのです。
そこで、うつ状態に関係の深いセロトニン再取り込み阻害作用だけを持たせた薬がSSRIなのです。

SSRIは三環系抗うつ薬に比べて、抗うつ効果という点では同等かそれ以下です。
しかし、副作用特に抗コリン作用が格段に少ないので、薬を飲み続けることが可能です。
三環系抗うつ薬では、作用がでる前に副作用が出てしまいそれが嫌で服薬を中止するケースがたくさんありました。
一方、SSRIではそれらの副作用が弱いので継続して服薬でき、長い期間抗うつ効果が期待できるのです。

では、SSRIの副作用にはどんなモノがあるのでしょうか。
SSRIの服用をはじめた直後に見られるものとしては、不安、焦り、不眠、眠気、高揚感、めまい、口渇などがあります。
これらは、一定期間服用を続ければ次第に落ち着いてくるのは従来の抗うつ薬と同じです。
また、悪心、吐き気、便秘、下痢なども見られることもあります。食欲がなくなったりもします。
さらには、性機能への副作用が見られます。性欲の減退、インポテンツなどが見られるようです。


フルボキサミン(ルボックス、デプロメール)
 世界でも最初(83年)1に認可されたSSRIです。
 他のSSRI類と比べて、ノルアドレナリン、ド−パミンの再取り込み阻害をほとんどしないため、循環器系に対する影響が少ない。
 薬が効き始めるまでに一週間ほどかかります。

【作用・適応・用量】

  1. セロトニンの再取り込みを選択的に阻害します。ノルアドレナリン、ドーパミン取り込み阻害は他の
    抗うつ薬と比べてかなり低く、各種神経伝達物質受容体にほとんど親和性はなく、MAO阻害作用もありません。
  2. うつ病、うつ状態と強迫性障害に対して使用します。
  3. 初期量は1日50mgを2回に分けて服用します。
    1日150mgまで増やしていけます。
【動態】
  1. Tmax:4〜5時間 T1/2:9〜14時間
  2. 70時間までに94%が尿中に排泄されます。
【副作用】
  1. せん妄、錯乱、幻覚、妄想、ショックが見られたときは即中止します。
  2. セロトニン、悪性症候群が疑われたら、中止します。
  3. めまい、眠気、ふらつき、振戦などが見られることがあります。
  4. 躁転する可能性があるので、自殺、自殺企図に注意します。
  5. 炭酸リチウムと相互に作用を増強しますので注意します。
  6. 抗てんかん薬、三環系抗うつ薬、ベンゾジアゼピン系の血中濃度を上げるため注意します。
  7. その他SSRIの副作用を見てください。

パロキセチン(パキシル)
 選択的セロトニン取り込み阻害作用と、受容体のダウンレギュレーションによって抗うつ、抗不安作用を示します。

【作用・適応・用量】

  1. 選択的にセロトニンの取り込みを阻害することにより神経間隙内のセロトニンの濃度を上昇させるとともに、
    反復経口投与によって受容体の数を減らすことによって抗うつ作用、抗不安作用を示します。
  2. うつ病、うつ状態、パニック障害に対して使用します。
  3. うつ病、うつ状態に対して1日1回夕食後20〜40mg服用します。
    10〜20mgより開始し、一週毎に10mg増量。1日40mgを超えない範囲で増減する。
    パニック障害1日1回夕食後30mg服用します。
    10mgより開始し、一週毎に10mg増量。1日30mgを超えない範囲で増減する。

【動態】

  1. Tmax:3.73〜6.27時間 T1/2:3.36〜25.34時間
  2. 投与後168時間以内に64%が尿中に、35%が糞中に排泄されます。

【副作用】

  1. MAO阻害薬、メレリルなどとは併用しない。
  2. リーマス、三歓系抗うつ薬、アルコールなどとは作用が増強されるので注意します。
  3. 眠気やめまいなどがでてくるので運転などには注意します。
  4. 急に服薬を中止するとめまい、睡眠障害、不安、嘔気などがでることがあります。
  5. セロトニン、悪性症候群などが出現したら服薬を中止します。
  6. その他SSRIの副作用を参照下さい。

セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬
SSRIの特徴はセロトニンのみ作用することで三環系抗うつ薬の問題であった副作用の軽減をはかっていたのです。
その分、薬効としては三環系よりも弱いとされています。
抑うつ状態に関する物質はモノアミンとされています。
その中でも特に重要なのはセロトニンなのですが、それだけでなくノルアドレナリンなども関係します。
そこでセロトニンの他にノルアドレナリンにも作用できるように開発されたのが
セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)です。

シナプス間隙のセロトニンとノルアドレナリンの再取り込みを阻害することによって、
この二つの物質の濃度を上げることで抗うつ効果が上げられると考えられています。

ミルナシプラン(トレドミン)
 セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬です。
 前立腺疾患などがある場合は使いにくいです。

【作用・適応・用量】

  1. セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬であり、神経終末でのセロトニンとノルアドレナリンの再取り込み部位に選択的に結合し、これらのモノアミンの再取り込みを阻害することによるシナプス間隙のセロトニンとノルアドレナリンの濃度を増加させる。
  2. うつ病・うつ状態に対して使用します。
  3. 1日50mgを初期用量として、100mgまで漸増し何回かに分けて服用します。

【動態】

  1. Tmax:2〜3時間、T1/2:8時間
  2. 48時間後に代謝物と未変化体として85%排泄されます。 

【副作用】

  1. ノルアドレナリン再取り込み作用があるため緑内障、前立腺肥大症などがある場合には慎重に投与します。
  2. 眠気やめまいがくることがあるので運転などには注意します。
  3. 空腹時に服用すると嘔気、嘔吐が強く出現することがあります。
  4. 高齢者では少な目の量から使用を開始します。
  5. 悪性症候群などが出現したら服薬を中止します。
  6. 口渇、悪心などが見られることがあります。

抗そう薬(気分安定薬)
躁状態の治療に使われるのは、炭酸リチウム(リーマス)とカルバマゼピンです。
リチウムは神経の色々な部位で作用していますが、おそらくセロトニンやノルアドレナリンなどの
神経伝達物質が受容体にくっついた後に起こる変化を抑えると考えられています。
つまり、躁状態では色々な神経活動のテンションがあがっているので、それをリチウムが押さえ込んでいる模様で、
躁状態を改善しているようです。また、治療だけでなく再発予防にも効果があるとされています。
また、そう病の治療には抗精神病薬を使うこともあります。これは直接脳を沈静化する効果を狙ってのものです。
そう病期の重症例に対する効果は抗精神病薬に劣りますが、躁鬱病に対する有用性は抗うつ薬よりも優れています。


炭酸リチウム(リーマス)
 最初の抗そう薬です。詳しい作用機序は不明です。従来の抗精神病薬による非特異的な抑制と異なり、
 治療量では健康人にほとんど向精神作用を示さず、異常な興奮や躁状態に特異的に作用します。

【作用・適応・用量】
  1. 自発運動抑制作用、抗覚醒作用、条件回避反応抑制作用、闘争行動抑制作用があります。
  2. そう病、躁うつ病の躁状態に対して使用します。
  3. 開始量1日400〜600mgを2〜3回に分けて服用します。
    以後、3〜7日ごとに1日1200mgまで増やしていきます。
    状態が落ち着いてるときは維持量として1日200〜800mgを1〜3回に分けて服用します。
【動態】
  1. Tmax:2〜4時間 T1/2:10〜24時間
  2. 発現:10日以内 持続:8時間
  3. 有効濃度 治療:0.3〜1.0mEq/l 維持:0.3〜0.8mEq/l
  4. 尿中に95%が排泄されます。
  5. 母親の血中濃度の約半分が母乳中へ移行します。
  6. 急性毒性:マウス経口888 ラット経口590
【副作用】
  1. 過量投与で中毒を起こすことがあるので血中濃度に注意する。
    軽度中毒:嘔吐、嘔気、口渇、運動失調、めまい、眼振、筋脱力、疲労など。
    中等度中毒:食欲不振、持続する吐き気、嘔吐、かすみ目、筋れん縮、けいれん、せん妄、失神、昏睡
    重度中毒:全身けいれん、腎不全、死亡
  2. 体内の水分量と塩分がリチウム排泄量に影響します。過剰に塩分をとることはリチウム濃度を低下させ、
    過激なダイエットなどで塩分が足りなくなるとリチウム毒性が出てくることがあります。
    体内の水分の減少は脱水症状やリチウム中毒につながります。
  3. 腎臓に影響して、多尿症とります。また、口渇感も伴います。
  4. 皮膚症状としてにきび、脱毛などが見られます。
  5. 妊娠中に服用すると異常出産や心臓奇形などの確率が増加します。
    3ヶ月以内は奇形を誘発しやすいので注意が必要です。
    また、出産直前にリチウムにさらされた胎児は出産後リチウム中毒に陥ることがあります。
  6. 母乳中に移行するので、授乳は避けます。
  7. 下痢、浮腫なども見られます。
  8. ハロペリドールなどとの併用で重症の錐体外路症状や持続性ジスキネジアなどが見られます。
  9. カルバマゼピンとの併用で精神神経症状、錯乱、振戦、見当識障害などが発現します。
  10. 効果の発現が遅い。


カルバマゼピン(テグレトール)
 抗精神病薬の方をご覧ください。

精神刺激薬
主に交感神経系を刺激することにより、活動性を高めようとします。
いわゆる覚醒剤と同じ作用機序ですが、そこまで強いものではないと考えてください。
薬理作用は、間接的なカテコールアミン刺激作用です。
アンフェタミン(覚醒剤)はカテコールアミン(特にドーパミン)をシナプスの前のニューロンから放出させると同時に、
再取り込みを阻害します。その結果、ネットとしての脳のいくつかの領域が刺激されることになります。
短期間の交感神経作用薬の使用により多幸感が誘導されますが、交感神経作用、多幸感とともに耐性が生じます。


メチルフェニデート(リタリン)
 主にナルコレプシーの治療で用いられる覚醒剤です。即効性があることと、興奮作用が強いことから依存に陥ることがあります。
  うつ病の場合は、難治性、蔓延性の場合に使われます。軽症、重症の場合は処方されにくいです。

【作用・適応・用量】

  1. 大脳半球及び脳幹に広く作用し、知覚・感覚系を刺激し、中枢神経興奮作用を示します。
  2. ナルコレプシー、注意欠陥/多動障害、難治性うつ病に対して使用されます。
  3. うつ病の場合、1日20〜30mgを2〜3回に分けて服用します。
    ナルコレプシーの場合、1日20〜60mgを1〜2回に分けて服用します。

【動態】

  1. Tmax:1〜2時間 T1/2:2〜3時間
  2. 過量投与より中枢神経系の過激刺激、過度の交感神経興奮状態になります。
    嘔吐、激越、振戦、筋けいれん、多幸感、錯乱、幻覚、せん妄、発汗、紅潮、高熱、頻脈、心悸亢進、不整脈などです。

【副作用】

  1. MAO阻害薬、抗けいれん薬、三環系抗うつ薬などと併用すると作用が増強するので注意します。
  2. 覚醒効果があるので、不眠に注意します。夕方以降の服用は避けます。
  3. 連用により薬物依存が生じます。また、耐性も生じます。
  4. 食欲抑制作用が見られます。吐き気、体重減少など。
  5. 反跳現象(リバウンド)が見られます。


ピプラドロール(カロパン)
 ナルコレプシーの治療薬の一種です。

【作用・適応・用量】

  1. 運動活性を亢進し、大脳皮質の自発性脳波に低電位速波をもたらします。
    網様体賦活系刺激による脳波覚醒反応を亢進します。
  2. ナルコレプシーに対して使用します。
  3. 1日3〜6mgを1〜3回に分けて服用します。

【動態】

【副作用】

  1. 極度の不安状態、緊張、興奮、焦燥、幻覚の時には使いません。
  2. 覚醒効果があるので不眠に注意します。夕方以降の服用を避けるようにします。
  3. 連用により薬物依存の可能性があります。
  4. 発疹などの過敏症がでたときは中止します。
  5. 不眠、多幸感、不安、焦燥、興奮などの精神症状がでることがあります。


ペモリン(ベタナミン)
 メチルフェニデートに比べて、依存を形成しにくいが、そのぶん効き目はマイルドです。
 依存形成が低いので好んで使われます。

【作用・適応・用量】

  1. ナルコレプシーに対して、覚醒作用、全般的精神賦活作用、大脳皮質の賦活作用、
    脳幹の鎮静作用を持っています。また、うつ病、うつ状態に対しては中枢興奮作用に基づく抗うつ作用を持っています。
  2. ナルコレプシー、うつ病、神経症に対して使用します。
  3. うつ病に対し、1日10〜30mgを朝食後に服用します。
    ナルコレプシーに対し、1日20〜2000mgを朝食後、昼食後に分けて服用します。

【動態】

【副作用】

  1. 過度の不安、緊張、興奮、焦燥、幻覚、妄想のあるときには使用しません。
  2. MAO阻害薬との併用を避けます。
  3. 覚醒効果があるので不眠に注意します。しかし、投与後、15〜30分で一過性に傾眠傾向を来すことがあります。