抗不安剤について、薬効、使用上の注意、副作用などについてです。
抗不安薬

不安や緊張を選択的に除去、または軽減するために使うのが抗不安薬です。
古くはアルコールが用いられていました。(現在もですが・・・)
20世紀に入りバルビツール酸系やメプロバメートが使われていたが、
これらは連用による耐性や身体依存性がよくあらわれやすかったのです。

そこで登場したのがベンゾジアゼピン系です。比較的副作用や耐性が出にくいため
現在ではこの薬剤が主流となって使われています。
その他にはチエノジアゼピン系などがあります。神経症や心身症、不眠のさいの睡眠導入として用いられます。
抗不安薬の分類
、ベンゾジアゼピン系
  1. 短期作用型(6時間以内)
     a、高力価型:エチゾラム(デパス)
     b、低力価型:クロチアゼパム(リーゼ)
             フルタゾラム(コレミナール)
  2. 中期作用型(12〜24時間以内)
     a、高力価型:ロラゼパム(ワイパックス)
            アルプラゾラム(コンスタン)
     b、中力価型:ブロマゼパム(セニラン)
     c、低力価型:オキサゼパム(ハイロング)
  3. 長期作用型(24時間以上)
     a、高力価型:フルジアゼパム(エリスパン)
              メキソゾラム(メレックス)
     b、中力価型:ジアゼパム(セルシン、ホリゾン)
             クロキサゾラム(セパゾン)
     c、低力価型:クロルジアゼポキシド(コントール)
              メダゼパム(ナーシス)
              オキサゾラム(セレナール)
  4. 超長期作用型(90時間以上)
     a、高力価型:フルトプラマゼパム(レスタス)
              ロフラゼプ酸エチル(メイラックス)
     b、低力価型:プラゼパム(セダプラン)
  1. ベンゾジアゼピン系を第一選択
  2. 抗不安効果は大同小異
  3. 作用時間と用量力価を参考
  4. 短期作用型
    1,不安作用に対する頓用に
    2,連用後退薬症状起こす
  5. 長期作用型
    1,服薬回数を削減できる
    2,依存者の離脱に有効
    3,体内蓄積起こす
  6. 高力価型
    健忘やせん妄の報告あり
  7. 老人には
    短期型、長期型を避ける
B、非ベンゾジアゼピン系
  1. ヒドロキシジン(アタラックスP)
  2. メプロバメート(アトラキシン)
  3. タンドスピロン(セディール)
標準一日最低用量
5mg以下…高力価型(ちょっとで効く)
6〜10mg…中力価型
10mg以上…低力価型
ベンゾジアゼピン系・チエノジアゼピン系

この薬は、催眠鎮静剤のとこでも出てきました。
おさらいすると、脳の中の感情をコントロールしている部分や、ホルモンを支配している部分に
作用して、神経の過度の興奮を抑える物質(GABA)の働きを高めることにより気持ちを落ち着
かせたり、緊張、ストレス、不安を和らげていきます。
一般に精神安定剤と言えばこのことをさすことが多く、マイナーという言い方もあります。<
(メジャーは抗精神病薬になります)

ベンゾジアゼピン系は意識や、高次機能に対する影響は少なく、薬物依存形成作用も少ない。
情動中枢に選択的に作用する(呼吸中枢にはあまり影響しない)ので、
過誤や自殺目的の過量投与の際も死亡する危険性は少ない。

ベンゾジアゼピン系で共通して見られる主な副作用

  1. 精神運動機能の低下 集中力、注意力の低下、眠気、ふらつき、めまい、頭痛、健忘、
    構音障害(ろれつが回らない)など。
  2. 健忘作用 高用量、アルコール併用で増強されます。高力価、短時間型のものに多い。
  3. 連用中に急にやめたり、急に大量投与したりすると禁断症状が出ることがある。
  4. 精神分裂病患者では刺激興奮、錯乱などが見られる。
  5. 急性中毒は自殺目的に多量服用しても単独では成功しない。他薬やアルコール併用時は注意。

内因性(生体内)ベンゾジアゼピン様物質の存在が想定され、ベンゾジアゼピン系の薬剤
を投与することにより、この産生がストップする。そのため、急に服薬を中断すると強い不眠や
不安などの禁断症状が出るのはこのためであります。
この症状は作用が短い(強力に出る)薬ほど強い傾向にあります。
つまり、短時間型の方が禁断症状が出やすいと言うことです。


エチゾラム(デパス)

 ジアゼパムに比べて、指向性攻撃反応の抑制作用(鎮静)が5〜6倍強い。
 脳内のアミン代謝を抑制することで抗不安作用を出現します。
 さらに、脳内のアドレナリンの再取り込み抑制(たくさん脳内に残す)による抗うつ作用を持っています。
 睡眠作用はREM睡眠を抑制します。また、強い筋緊張寛解作用を持っています。


【作用・適応・用量】
  1. 抗不安作用、鎮静・催眠作用、筋緊張寛解作用、抗うつ作用
    心身安定化作用がある。
  2. 神経症やうつ病での不安・緊張・抑うつ・神経衰弱状態。
  3. 神経症、うつ病、精神分裂病、心身症での睡眠障害。
  4. 神経症・うつ病に対して1日3mgを3回に分けて飲む。
  5. 睡眠障害に対しては1日1.5〜3mgを就眠前に飲む。
【動態】
  1. Tmax:約3時間 T1/2:約6時間
  2. 発現:ジアゼパムより速い 持続:ジアゼパムより短い。
  3. 尿中に54%排泄されます。
  4. 急性毒性:マウス経口4358 ラット経口3619(とっても安全!!)
【副作用】
  1. 大量連用で薬物依存が出ることがある。
  2. 急に服薬を中止するとけいれん発作、せん妄、不眠などが出る。
  3. 眠気、ふらつき、酩酊感が出ることもある。
  4. 中枢神経作用薬(バルビツール酸系など)や飲酒との併用で作用が増強される。

クロチアゼパム(リーゼ)

 催眠・鎮静作用はジアゼパムよりも弱いです。お砂糖でコーティングしてあるくらいちょっとだけ苦い。

【作用・適応・用量】
  1. 視床下部や大脳辺縁系(特に扁桃核)に作用し、不安緊張などの情動異常を改善する。
  2. 心身症(消化器、循環器疾患)での、不安、緊張、心気、抑うつ、睡眠障害に適応。
  3. 自律神経失調症でのめまい、肩こり、食欲不振に。
  4. 1日15〜30mgを3回に分けて服用。
動態】
  1. Tmax:2.2時間 T1/2:約4時間
  2. 発現:作用のピークは1〜1.5時間 持続:よくわかりません
  3. 母乳中へ移行します。また妊娠してるときはやめたがよい。
  4. 尿中へ50%、糞中へ40%排泄されます。
  5. 急性毒性:マウス経口957 ラット経口:1616
【副作用】
  1. 大量投与、投与量の急激な減少で禁断症状が出ることがある。
  2. 眠気、ふらつき、めまい、脱力感など。
  3. 口渇感、便秘、胃痛などもある。
  4. 他のベンゾジアゼピン系と同じ。

フルタゾラム(コレミナール)

 ジアゼパムと比較して筋弛緩作用は1/3、好けいれん作用はほぼ同じくらいです。
 さらに胃や大腸の運動の亢進を抑制する作用もあります。黄色い丸い錠剤。一錠は4mg。


【作用・適応・用量】
  1. 中脳網様体、視床下部、大脳辺縁系に抑制的に作用して、自律神経を正常化します。
    また、抗不安・緊張・抑うつ作用を現すと考えられています。
  2. 心身症(過敏性大腸炎、慢性胃炎、胃潰瘍など)における不安・緊張・抑うつにたいして。
  3. 1日12mgを3回に分けて服用する。
【動態】
  1. Tmax:1時間 T1/2:3.5時間
  2. 尿中へ未変化、グルクロン酸抱合して20〜37%排泄されます。
  3. 母乳中へ移行します。
  4. 急性毒性:マウス経口2620、ラット経口6000以上
【副作用】
  1. フェノチアジン系、バルビツール酸系、モノアミン酸化酵素阻害薬、
    飲酒によって作用が増強されます。
  2. 大量投与で薬物依存、急激な減量でけいれん、振戦、不眠、不安、幻覚、妄想
    などが出現します。
  3. 眠気、ふらつき、めまい、立ちくらみなどが見られます。
  4. その他他のベンゾジアゼピン系と同じです。

ロラゼパム(ワイパックス)

 ジアゼパム、オキサゾラム、クロキサゾラムより低用量で強力な抗不安作用を示す。
 鎮静作用もジアゼパムよりも強力である。錠剤に書いてる数字の単位はmg。


【作用・適応・用量】
  1. 他のベンゾジアゼピン系と同じく、大脳辺縁系や視床下部などに作用し、セロトニンの代謝
    を抑制(つまり、貯まる)する事によって、抗不安・緊張緩和作用を現す。
    速やかに体内に吸収され、比較的速く排泄される。
  2. 神経症や自律神経失調症における不安・緊張・抑うつに適応。
  3. 1日1〜3mgを2〜3回に分けて服用する。
【動態】
  1. Tmax:2時間 T1/2:10〜20時間(24時間でほとんど消失)
  2. 発現:30分 持続:4〜6時間
  3. 母乳中へ移行が認められる。
  4. 急性毒性:ラット経口5100
    120mg(120錠)服用後18時間後に入院し、胃洗浄、点滴などで
    12時間後に完全に覚醒後退院例あり。
>【副作用】
  1. 大量連用で薬物依存が出ることがある。
  2. 眠気、ふらつき、めまい、脱力感など。
  3. 運転や機械を扱うことは注意。
  4. 他のベンゾジアゼピン系と同じ。

アルプラゾラム(コンスタン、ソラナックス)

 葛藤行動を緩める作用、なだめる作用、鎮静作用はジアゼパムの2〜7倍強力です。
 ソラナックスは0.4mgは楕円形、0.8mgが丸い白い錠剤です。


【作用・適応・用量】
  1. 情動活動や覚醒を維持するのに関与している視床下部、大脳辺縁系の神経回路
    に対する抑制で効果を発揮します。
  2. 心身症(胃潰瘍、過敏性大腸炎など)による不安・緊張・抑うつ・睡眠障害に対して。
  3. 自律神経症状における不安・緊張・睡眠障害に対して。
  4. 1日1.2mgを3回に分けて服用します。
    最高用量は2.4mgで3〜4回に分けて服用します。
【動態】
  1. Tmax:約2時間 T1/2:約14時間
  2. 発現:0.5〜1時間 持続:ほぼ24時間
  3. 79%が尿中へ、7%が糞中へ排泄される。
  4. 母乳へは服用30分後に血中濃度の1.5倍となる。以後速やかに排泄されます。
  5. 急性毒性:マウス経口1410 ラット経口3619
【副作用】
  1. フェノチアジン系、バルビツール酸系、飲酒によって作用の増強が見られます。
  2. 大量連用で薬物依存、急な減量、中止でけいれん、せん妄、振戦、不眠、不安などがでます。
  3. その他のベンゾジアゼピン系と同じです。

ブロマゼパム(セニラン、レキソタン)

 ジアゼパムと比較して静穏作用や抗不安作用は約5倍、催眠作用などは約2倍強いです。
 レキソタンの場合、1mgと2mgは丸い白い錠剤、5mgは淡黄赤色の丸い錠剤です。


【作用・適応・用量】
  1. 抑制系のGABAニューロンに存在するベンゾジアゼピン受容体に特異的に結合して
    作用を増強します。
  2. 神経症における強迫・恐怖及び不安、うつ病における不安・緊張、
    心身症(高血圧、胃潰瘍など)における不安・緊張・抑うつ及び睡眠障害、
    自律神経失調症における不安・緊張・抑うつ・睡眠障害に適応します。
  3. 神経症・うつ病に対しては1日6〜15mgを2〜3回に分けて服用します。
    心身症・自律神経失調症に対しては1日3〜6mgを2〜3回に分けて服用します。
【動態】
  1. Tmax:1〜4時間 T1/2:7時間
  2. 尿中に70〜80%が72時間以内に排泄されます。
  3. 母乳中への移行がみとられます。
  4. 急性毒性:マウス経口1950 ラット経口2450
    過量投与により傾眠、興奮、昏睡、錯乱、呼吸抑制などが見られます。
【副作用】
  1. 飲酒や他の中枢神経抑制薬によって作用が増強されます。
  2. 大量連用で薬物依存、急な減量、中止でけいれん、せん妄、振戦、不眠、不安などがでます。
  3. 他のベンゾジアゼピン系の薬物と同じです。

オキサゼパム(ハイロング)

 中期作用型の低力価型の薬剤。肌色の薬剤で10mg。

【作用・適応・用量】
  1. 攻撃的行動を抑制したり、抗不安作用を持ちます。自発運動抑制作用は
    ジアゼパムより弱いです。
  2. 神経症における不安・緊張・抑うつ。うつ病における不安・緊張。
    心身症における不安・緊張・抑うつに対して有効です。
  3. 1日10〜30mgを2〜3回に分けて服用します。
    1日に90mgくらいまで。
【動態】
  1. Tmax:2〜4時間 T1/2:7時間
  2. 12時間以内に代謝されて尿中に排泄されます。
  3. 母乳中へ移行します。
  4. 急性毒性:マウス経口4000以上 ラット経口8000以上
【副作用】
  1. 飲酒や中枢神経抑制薬との併用で作用が増強します。
  2. 大量連用で薬物依存、連用の急の中止で禁断症状が出現します。
  3. 眠気、ふらつき、歩行失調、言語障害などが見られることがあります。
  4. その他のベンゾジアゼピン系と同じです。

フルジアゼパム(エリスパン)

 他のベンゾジアゼピン系と同様に情動発現中枢に対する調節を行い抗不安作用を呈する
 と考えられています。また、自律神経系の安定化する作用を持っています。
 鎮静・催眠作用は弱い方です。0.25mgの白い錠剤です。


【作用・適応・用量】
  1. 抗不安作用、鎮静・催眠作用があります。
  2. 心身症(消化器疾患、高血圧など)、自律神経失調症による不安、緊張、焦燥、
    抑うつ、疲れやすいさと睡眠障害に対して適応。
  3. 1日0.75mgを3回に分けて服用します。
【動態】
  1. Tmax:1時間 T1/2:23時間
  2. 母乳中へ移行が見られます。
  3. 急性毒性:マウス経口910
【副作用】
  1. 大量連用で薬物依存、急な服用の中止で禁断症状が出ることがあります。
  2. 眠気、ふらつき、めまい、頭痛などが出ることがあります。
  3. 飲酒などで作用が増強します。
  4. 他のベンゾジアゼピン系と同じです。

メキサゾラム(メレックス)

 ジアゼパムより強い抗けいれん作用を持ちます。鎮静作用はジアゼパムより強力です。
 運動機能系に及ぼす影響が少ないです。作用が発現するまで時間がかかります。


【作用・適応・容量】
  1. 扁桃核や視床下部を含めた大脳辺縁系に作用し、鎮静作用を示します。
  2. 神経症における不安・緊張・抑うつ・易疲労性・強迫・恐怖及び睡眠障害。
    心身症(高血圧、胃潰瘍、、心臓神経症など)での不安・緊張・抑うつ及び睡眠障害。
    自律神経失調症における不安・緊張・抑うつ・易疲労性及び睡眠障害。
  3. 1日1.5〜3mgを3回に分けて服用します。
【動態】
  1. Tmax:1〜2時間 T1/2:60〜150時間
  2. 発現:1〜2週間後
  3. ほとんどが糞中に排泄され、7〜11%が72時間で尿中へ排泄されます。
  4. 母乳中へ服用後2時間がピークで、6時間後まで血中の半分が移行します。
    10時間以降は検出されませんでした。
  5. 急性毒性:マウス経口4687
【副作用】
  1. 大量連用で薬物依存、急な服用の中止で禁断症状が出ることがあります。
  2. 眠気、ふらつき、めまい、頭痛、物忘れなどが出ることがあります。
  3. 立ちくらみや低血圧がみられます。
  4. 発疹などの過敏症がみられることがあります。
  5. 飲酒などで作用が増強します。
  6. 他のベンゾジアゼピン系と同じです。

ジアゼパム(ホリゾン、セルシン)

 本剤は大脳に特異的に作用するので、正常な意識・行動に影響を及ぼすことなく
 選択的に不安、その他の情動異常を除去し、鎮静、緊張除去作用を現します。
 また、筋肉の異常緊張を緩和し、筋けいれんも抑制します。
 自律神経を支配する間脳に働くので、いろいろな臓器の異常状態を安定化します。
 最も標準的なベンゾジアゼピン系抗不安薬。ちょっと苦い。


【作用・適応・用量】
  1. 大脳辺縁系(感情の中枢、本能に近い部分)に作用し、不安・緊張の情動異常を改善する。
    また、子宮筋に作用し、異常緊張を取り去ります。
  2. 神経症での不安・緊張・抑うつ。
  3. うつ病での不安・緊張。
  4. 様々な自律神経症状での不安・緊張。
  5. 1回2〜5mgを1日2〜4回。1日15mg以下になるように。
【動態】
  1. Tmax:1時間 T1/2:27〜28時間
  2. 発現:15〜45分 持続:よくわかりません
  3. 尿中へ62〜73%排泄されます。
  4. 急性毒性:マウス経口720
【副作用】
  1. 眠気、注意力の低下が来ることがあるので運転は駄目。
  2. 大量投与、連用後の急激な中止で禁断症状。
  3. 呼吸器疾患がある場合、呼吸抑制がかかることもある。
  4. 過量投与で、持続性の錯乱、眠気、不明瞭な発音、異常な脱力感など見られる。
  5. フェノチアジン系、、バルビツール酸系や飲酒によって作用が増強することがある。

クロキサゾラム(セパゾン、エナデール)

 静穏作用が強く、自発性の行動を抑えるのは弱い薬剤です。

【作用・適応・容量】
  1. 扁桃核、視床下部、中心灰白質系に作用することによって静穏作用を発揮します。
  2. 神経症での不安・緊張・抑うつ・強迫・恐怖・睡眠障害
    心身症での身体症候、不安・緊張・抑うつに対して。
  3. 1日3〜12mgを3回に分けて服用します。
【動態】
  1. Tmax:2〜4時間 T1/2:11〜21時間
  2. 発現:1〜2週間の連続投与で効果発現
  3. 多くは糞中に排泄されます。一部が尿中へ排泄されます。
  4. 母乳には移行しないのではないかといわれています。
  5. 急性毒性:マウス経口3300 ラット経口2240
【副作用】
  1. 大量投与によって薬物依存、連用中止で禁断症状が出ることがあります。
  2. 眠気、ふらつき、頭痛、見当識障害、不眠などが見られることがあります。
  3. 悪心、嘔吐、口渇、食欲不振が見られることがあります。
  4. フェノチアジン系、、バルビツール酸系や飲酒によって作用が増強することがある。

クロルジアゼポキシド(コントール、バランス)

 最初のベンゾジアゼピン系抗不安薬です。少量では血圧の低下はきたしませんが
 大量では血圧の低下をきたします。食欲亢進も見られます。
 ちょっとクリーム色っぽい糖衣錠の錠剤。5mgと10mgがある。粉薬は苦い。


【作用・適応・用量】
  1. 大脳辺縁系特に扁桃核・海馬に抑制作用を示して、不安・緊張のを改善します。
    脳幹への直接作用は少ないため意識水準には直接影響はしません。
  2. 神経症における不安・緊張・抑うつに有効。
  3. うつ病における不安・緊張に有効。
  4. 高血圧、動脈硬化、胃潰瘍、月経前、分娩前などの不安・緊張・抑うつに有効。
  5. 1日20〜60mgを2〜3回に分けて服用する。
【動態】
  1. Tmax:1時間 T1/2:6〜28時間
  2. 母乳中へ移行する。
  3. 急性毒性:マウス経口720
    一回に2500mg(250錠)を服用した女の人は1日で軽快した。
【副作用】
  1. 大量投与で薬物依存、急な服用中止でけいれん、せん妄、不眠、振戦など。
  2. 眠気、ふらつき、めまい、多幸症などが出る。
  3. フェノチアジン系、バルビツール酸系、飲酒によって作用の増強が見られます。
  4. 塩酸マプロチリンによって作用が増強されます。
  5. 他のベンゾジアゼピン系と同じです。

メダゼパム(ナーシス、ノブリウム、レスミット)

 睡眠作用は同じような薬に比べて同じくらいか弱い方です。
 体内で代謝されることによって、ジアゼパムやデスメチルジアゼパムと変化します。


【作用・適応・容量】
  1. 抑制性のニューロンのシナプス後膜に存在する受容体に高い確率で結合し、
    作用を出現します。
  2. 神経症、心身症に対して不安、緊張、抑うつに対して使用します。
  3. 1日一回10〜30mgを服用します。
【動態】
  1. Tmax:1〜3時間 T1/2:2〜5時間
  2. 発現:1.2〜7日間以内に効果が見られます。
  3. 尿中に49から75%排泄されます。
  4. 母乳への移行が認められます。
  5. 急性毒性:マウス経口1020 ラット経口980
【副作用】
  1. 粉薬の場合他の粉薬(アスピリン、ビタミンC、砂糖の多く入ったもの)と混在すると変色しやすいです。
  2. フェノチアジン系、バルビツール酸系、飲酒によって作用の増強が見られます。
  3. 大量服用で薬物依存、連用の急な中断で禁断症状が出現することがあります。
  4. 眠気、ふらつき、めまい、しびれ、高揚感、浅眠多夢などが見れることがあります。
  5. 食欲不振、嘔吐、便秘、口渇などが見られることがあります。

オキサゾラム(セレナール)

 おとなしくする作用が強く、催眠・筋弛緩・歩行失調などの行動を抑制する作用は弱い。
 丸い白い糖衣錠剤。5mg、10mg、20mgがあり、カプセルは10mg。


【作用・適応・用量】
  1. 大脳辺縁系に特異的に作用(他のとこにはあんまり作用しない)する事で静穏作用
    が得られます。つまり、意識水準を保つようなとこにはほとんど影響がないとされています。
  2. 神経症、心身症における不安・緊張・抑うつ・睡眠障害に有効。
  3. 1日30〜60mgを3回に分けて服用する。
【動態】
  1. Tmax:7〜9時間 T1/2:50〜62時間
  2. 80%が尿中に排泄される。
  3. 母乳への移行が認められます。
  4. 急性毒性:マウス経口5200
【副作用】
  1. 薬物依存を形成することがあるので慎重に服用する。
  2. 眠気、ふらつき、めまい、頭痛、舌のもつれなど。
  3. 運転に注意する。
  4. 他のベンゾジアゼピン系と同じ。

フルトプラゼパム(レスタス)

 従来の抗不安薬のなかで最も強い抗不安作用と作用持続性をもっています。

【作用・適応・容量】
  1. 大脳辺縁系や視床下部に対して抑制的に作用し、情動を安定化します。
  2. 神経症、心身症の不安、緊張、抑うつ、易疲労性、睡眠障害に対して使います。
  3. 1日一回2〜4mgを服用します。
【動態】
  1. Tmax:4〜8時間 T1/2:190時間
  2. 尿中で3日間で4〜9%排泄されます。
  3. 母乳中への移行が認められます。
  4. 急性毒性:マウス経口2640 ラット経口13760
【副作用】
  1. 胃薬と一緒に服用すると血中濃度が上昇します。
  2. フェノチアジン系、バルビツール酸系、飲酒によって作用の増強が見られます。
  3. 大量服用で薬物依存、連用の中断で禁断症状が出ることがあります。
  4. 眠気、ふらつき、めまい、朝起きにくい、頭痛などが出ることがあります。
  5. 頭がボーっとする、集中できない、ゆううつ、もうろう感が出ることがあります。
  6. 口渇、胃の不快感、悪心・嘔吐、食欲不振、便秘が見られることがあります。

ロフラゼプ酸エチル(メイラックス)

 比較的新しいベンゾジアゼピン系の持続性心身安定剤です。
 体内にすぐに吸収されますが持続が長いのが特徴です。

【作用・適応・容量】
  1. ジアゼパムなどと同様に中枢神経作用をもっていて鎮静作用、意識水準の低下
    などは比較的弱いですが、動揺、躊躇してしまうことに対する改善効果は強いです。
  2. 神経症、心身症における不安、緊張、抑うつ、睡眠障害に対して使用します。
  3. 1日2mgを1〜2回に分けて服用します。
【動態】
  1. Tmax:1.2時間 T1/2:122時間
  2. 5日間で尿中へ62.7%、糞中へ12.7%排泄されます。
  3. 急性毒性:マウス経口5506 ラット経口10000以上(安全!!)
【副作用】
  1. 大量連用で薬物依存、急激な服用の中止で禁断症状がでます。
  2. 眠気、頭がボーっとする、朝起きづらい、めまい、ふらつき、イライラ感、
    頭痛、イライラ、しびれ感など出現することがあります。
  3. 便秘、口渇感、胃痛などがでることがあります。
  4. 飲酒などによって作用が増強します。
  5. シメチジン(胃潰瘍の薬)と併用すると薬の血中濃度が上がるので注意が必要です。

プラゼパム(セダプラン)

 作用持続時間が長く、1日量一回投与ですみます。また、その効果も持続的です。
 日中の行動を妨げるような鎮静作用は弱く、日常生活に支障をきたすようなことが少ないです。


【作用・適応・容量】
  1. 大脳辺縁系や視床下部に抑制的に作用し、性質的にはジアゼパムと似たように働きます。
  2. 神経症、心身症、自律神経失調症での不安・緊張・抑うつ・睡眠障害に対して。
    うつ病での不安・緊張・睡眠障害に対して。
  3. 1日一回10〜15mgを服用するか、1日10〜20mgを2〜3回に分けて服用します。
【動態】
  1. Tmax:8時間 T1/2:94時間
  2. 48時間以内に尿中へ13.9%、糞中へ69.4%排泄されます。
  3. 母乳中への移行が認められます。
  4. 急性毒性:マウス経口4000mg以上
    毒性はジアゼパムの1/5
【副作用】
  1. フェノチアジン系、バルビツール酸系、MAO阻害薬、飲酒などで作用が増強されます。
  2. 大量服用で依存性、連用の急な中止で禁断症状がでることがあります。
  3. 眠気、めまい、ふらつき、立ちくらみ、言語障害、高揚感、頭痛、不眠などがでることがあります。
  4. 口渇、悪心、嘔吐、不快感などがみられることがあります。
  5. 発疹などの過敏症がでることがあります。
  6. 性欲減退、目がだるい、顔がはれぼったい、失禁などがみられることがあります。

非ベンゾジアゼピン系の抗不安薬

ベンゾジアゼピン系以外の薬物でもその薬理作用から、催眠、鎮静、抗不安の作用を狙って
使われるものがあります。何らかの理由(ベンゾジアゼピン系に対して過敏症がでるなど)で、
ベンゾジアゼピン系の薬物が使えないときに使います。


ヒドロキシジン(アタラックス、アタラックスP、アラモン、ピゾン)

 抗ヒスタミン薬の一種です。本来はかゆみ止めなどの目的で使用されますが、
 催眠鎮静効果が高いことからこちらの目的で使われることもあります。
 普通の薬局でも買うことができます。ただ、ベンゾジアゼピン系より上回ることはありません。


【作用・適応・容量】
  1. 視床、視床下部、大脳辺縁系に作用し、中枢抑制作用を示します。
    おとなしくする作用はクロルジアゼポキシドとほぼ同等です。
    また、酔い止め、湿疹、かゆみに対しても有効です。
  2. 神経症における不安・緊張・焦りに対して使用します。
  3. 1日75〜150mgを3〜4回に分けて服用します。
【動態】
  1. 発現:30分 持続:8〜12時間
  2. 3日間で尿中に10%、糞中に85〜90%排泄されます。
  3. 催奇形性があるので妊婦は服用を控えます。また、母乳中へも移行します。
【副作用】
  1. フェノチアジン系、バルビツール酸系、MAO阻害薬、飲酒などで作用が増強されます。
  2. めまい、低血圧、眠気などを起こすことがあります。
  3. 車の運動には注意ます。
  4. 腹痛、下痢、便秘、口渇などがでることがあります。

メプロバメート(アトラキシン)

 ベンゾジアゼピン系抗不安薬より依存性が強く、急性中毒時の致命率が高いと言われています。

【作用・適応・容量】
  1. 視床にあるニューロンに対して作用し、情動に対する安定効果を持っていて、
    神経症などにおける不安感を取り除きます。また、筋肉の緊張をほぐすことで
    二次的に緊張感や不安感を取り除きます。
  2. 神経症の不安・緊張・焦りに対して使用します。
    不眠症の対して使用します。
    月経困難症・更年期障害での不安・緊張に対して使用します。
  3. 通常一回200mgを1日3回服用します。
    頓服としては一回200〜400mgを就寝30分前に服用します。
【動態】
  1. Tmax:約2時間 T1/2:約8時間
  2. 母乳中へは濃縮されて移行します。
【副作用】
  1. フェノチアジン系、バルビツール酸系、MAO阻害薬、飲酒などで作用が増強されます。
  2. 連用で薬物依存、服用の急な中断で禁断症状が出現します。
  3. 発疹などの過敏症がでることがあります。
  4. 眠気、倦怠感、脱力感、ふらつき、めまいなどがでることがあります。
  5. 悪心、嘔吐、口渇、下痢、食欲不振などがでることがあります。
  6. 脈がはやくなったり、低血圧、失神などが出ることがあります。


タンドスピロン(セディール)

 セロトニンに比較的選択的に作用する抗不安薬です。比較的新しい薬です。

【作用・適応・用量】

  1. 脳内セロトニン受容体のサブタイプ5HT1A受容体に選択的に作用することにより、抗不安作用を発揮します。
  2. 心身症での身体症状、抑うつ、不安、焦燥、睡眠障害に対して使用します。
    神経症での抑うつ、恐怖に対して使用します。
  3. 1日30mgを3回に分けて服用します。
    1日最大量は60mgです。

【動態】

  1. Tmax:0.8時間 T1/2:1.2時間

【副作用】

  1. 神経症で病気の期間が長い(3年以上)の場合や他のベンゾジアゼピン系で効果が不十分な
    患者の場合効果が上がりにくいです。
  2. 1日60mgで効果がみられないときは中止します。
  3. ベンゾジアゼピン系とは交差依存性がないため、ベンゾジアゼピン系から直ちに切り替えることができるが、
    ベンゾジアゼピン系の退薬症状が引き起こされやすいので、ベンゾジアゼピン系は徐々に減らしていきます。
  4. ブチロフェノロン系の薬物と併用すると錐体外路症状が増強します。
  5. 眠気、ふらつき、めまいなどを起こすことがあります。
  6. 悪心、嘔吐、胃のもたれ、口渇などを感じることがあります。
  7. 発疹や、かゆみなどの過敏症がでたときは中止します。